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と ページ11
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冬至が過ぎて、
季節は少しずつ穏やかになっていく。
道端を歩いていると、三分咲きの桜の木が目に入って手を伸ばした。
「それは寒桜だね」
後ろから声がしてハッとして振り返る。
そこに立っていたのは、会いたくて、話したくて、抱きしめたくて仕方なかった人。
「もう、枯れるよ」
刹那。
強い風が吹いて、花や葉がハラハラと散った。
彼女と久しぶりに会えたというのに、
言葉が出てこない。
「…この桜が枯れても、春に他の桜は咲くし、
…来年の冬になれば、この桜もまた咲く。」
桜の花がAの瞳に反射して、
彼女の瞳をピンク色に染める。
何も言えずに抱き締めると、Aは「もう彼女じゃないんだけどな」と言った。
優斗「…Aの、一番の恋人はA自身だったんだな」
A「…さあね」
優斗「…ちゃんと、好きになれたか？」
A「…なれたよ。
…モデル、辞めてきた。」
優斗「え？」
*
A「…ねえ優斗。
…付き合おっか。」
そう微笑んだ彼女は、
驚いて固まったオレにキスをした。
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作者名：にこり。
| 作成日時：2018年4月4日 21時
