07 - 同境遇者- side of R ページ7
.
*
*
可愛い後輩ができた。
おれのピアノを好きだという、後輩。
おれから創られるピアノの音を好きだと言った。
目を輝かせて、おれを見る。
…同じだった。
一年前のおれと。
ただ、一年前のおれと違うのは、
感情だけで行動しない、自分を律することが出来る子だということ。
おれみたいに誤った行動をとってキスなんてしないし、
おれみたいに初対面で告白をしてくる訳でもなかった。
それを見ていると、如何に自分があの日この場所で愚行を犯したのかが鮮明になって、笑えてくる。
毎週月曜日と木曜日。
ここに来ると言った。
あのおれに懐いている、…立花が。
立花に心を惹かれることができれば、おれは優姫先生を忘れられるのかもしれない。
龍斗「優姫先生」
おれが名前を呼べば、先生はぴくりと反応して、おれの顔を見る。
龍斗くん、と先生が呼ぶから、おれはか細い身体を包み込むようにして抱きしめた。
おれより何歳も年上なのに、壊れそうなほど儚い。
なんで、おれは先生と同い年に生まれられなかったんだろう。
なんで、…なんでおれは。
先生の、好きな人になれなかったんだろう。
佐野「龍斗くん、離れて」
龍斗「…嫌って言ったら」
佐野「…ほんとに、やめて欲しいの、
私、言ったよね。
結婚するの。龍斗くんとの、この歪んだ関係は、直さなきゃいけない」
歪んだ、関係ね。
先生は歪んだと言うけど
おれは純愛だと思うよ。
好きだから、求める。
それのどこが歪んでるって言うんだ。
龍斗「優姫」
名前を呼んで、後ろから覆いかぶさるようにしてキスをすれば、
先生はおれを拒む。
唇に触れることのなかったおれの唇は、
酷く傷ついて、先生の手首をぐっと掴んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 509人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこり。
| 作成日時：2018年3月19日 21時
