04 ページ4
.
恋の曲だと、先輩は確かにそう言った。
そういったはずなのに、
…どうしようもなく、切ない。
なんの曲かは分からなかった。
クラシックどころか、音楽に触れて生きてこなかった私に、
先輩が作り出す音楽の価値観などほんの欠片しか分からないのだろう。
それでも私は切ないと思った。
先輩の中の、孤独を表してるようだった。
龍斗「まだ練習途中で、かなり音符を間違えたけど。
どうだったかな」
A「…龍斗先輩にぴったりの曲だと思いました」
龍斗「おれに?」
A「静かで、…大人しくて…寂しい…」
寂しい、とまで口にしてハッとした。
龍斗先輩にぴったりだと言っているのに。
A「ごめんなさい、あの、」
龍斗「はは、気にしなくていいよ。
でも立花が思ってるおれとはリンクしてるのかもしれないけど、
残念ながらおれは静かじゃないし、大人しくもないし、寂しくもないよ」
立花が思ってる以上に、おれは普通の人間だ。
夕日を浴びた先輩がそう微笑むから、
余計に孤独を与えて特別を創り上げていた。
.
05 - 麗人 - side of R→←03 - 恋曲 -
509人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HiHiJets」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にこり。 | 作成日時:2018年3月19日 21時