15 ページ15
.
A｢ただいま、…｣
瑞稀｢おかえり〜お、今日はなんか持ってる｣
猫くんは帰ってきた私のスーパーの袋を見て嬉しそうに微笑む。
…かわいい。
瑞稀｢大丈夫？｣
A｢え、｣
瑞稀｢ぼうっとしすぎ。ほらおいで｣
ぎゅってしてあげるって猫くんが笑う。
これじゃ、私がまるで猫くんに飼われてるみたいだ。
学校にいた時は猫くんに抱きしめられたいとかそんなこと考えてたけど。
実際になると素直になれない私。
A｢別に、大丈夫。疲れてるだけ。｣
瑞稀｢またこんなお酒買ってきて。また酔って忘れるつもりなわけ？｣
A｢好きなの、お酒。
もうやめてよ、詮索するの。｣
瑞稀｢は？元気ないから心配してるのに、何その言い方｣
疲れで少し猫くんを突き放すと猫くんは顔を歪めて私を見た。
このあいだ見た、狼と同じ目で。
A｢…猫なんだから、偉ぶらないでよ｣
泣いたおかげで頭がズキズキする。
もう言葉の取捨選択なんてできなかった。
情緒不安定、ってこのことを言う。
瑞稀｢…は、もう知らねえ。酒飲んで潰れてまた虚しくなってろよ｣
全部、分かったみたいに言わないで。
狼みたいな目に睨み返すと、猫くんはバタンと玄関から出ていく。
もう、ずっと帰ってこない気がした。
A｢…ハハ、馬鹿だな…わたし｣
涙がじわっと溢れてくる。
何で泣いてるかなんて働かない脳みそで考えたところで無意味だ。
全部全部忘れたくて、一番度数の高いアルコールの封を開けた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1910人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
永瀬優 - 面白かったです♪パスワード教えてくれませんか？ (2020年2月1日 17時) (
レス) id: fba5318eb6 (このIDを非表示/違反報告)
けぃ(プロフ) - パスワード教えて欲しいです！ (2019年12月3日 3時) (レス) id: 53a60a21d0 (このIDを非表示/違反報告)
海 - 面白かったです！パスワード教えてもらうことってできますか？ (2019年5月1日 18時) (レス) id: d0f8e24141 (このIDを非表示/違反報告)
りるりる - パス教えて欲しいです！ (2019年3月19日 15時) (レス) id: 0cecd5caf4 (このIDを非表示/違反報告)
アリサ - 一回で読んだんですけど、めちゃくちゃ面白くて続き読みたい！織山さんと同じでパスワード教えてもらうことってできますか？ (2018年10月18日 22時) (レス) id: 576c709961 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこり。
| 作成日時：2017年10月28日 0時
