【ブルーロック】顔面国宝だからといって。 (ページ1)

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プロローグページ1

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人生で一番言われた言葉は、可愛いだとか綺麗だとかを通り越して顔面国宝だった。

顔だけ見ては好き勝手言って、近寄って来る者もいれば勝手に失望して離れる者も沢山居て。勝手に期待持たれて失望されて挙句逆ギレなんて、心底面倒くさいのでそれなりに出来る女で生きてきた。

自分の顔が良い事なんて、これだけ言われれば世界共通の認識レベルで把握している。そろそろ教科書に載ったり、顔面国宝賞授与されちゃったりしても良いと思うの。これは流石に調子乗ったけど。

兎にも角にも、私の顔の良さは並大抵では無いという話だが。

『顔が良いからマネージャーになってください、って誘い文句としてはないと思うの。絵心のお兄さん』
「勧誘の文句が思いつかなかったからそれ書いたら快く許可くれたよ。てことで、今すぐ荷造りして」
『親バカ……』

あの親バカ両親が。両親の柔らかい笑みを脳裏に思い浮かべて怒りの一つでも空想でぶつけようかと思ったが、しかし最愛の家族に出来る訳もなく。何ならその笑顔に怒りは削がれてしまった。私も人の事を言えない。

私に似ずのほほんとしている両親は、目に入れても痛くない程に私を溺愛している。嫌味を嫌味と受け取れないし、話の裏を読み取れない程単純で詐欺に引っかかりやすそうな彼等の事だから、可愛い甥っ子である絵心甚八とかいう男に娘を褒められて、あっという間も無く口車に乗せられてしまったに違いない。

あ、でも簡単に流されたけど時給そこそこ高かったな。正式な人を雇う分に比べたら大分安いけど、学生のアルバイトとして考えれば大分の儲かりか。問題は学校だけど、私に世界は甘いので何とか上手くいくかもしれない。知らないけど。

既に切られてしまった、何とも憎たらしい従兄弟の電話画面を睨みつけて暫く立ち尽くすが、直に意識を戻してこうしても居られないと首を振ってリビングに駆け入る。

「A！荷造りの準備は完璧にしておいたからね、このトランクを持っていきなさい！」
「A、これ菓子折りね。甚八君によろしく言っておいてちょうだい」
『落ち着いて』

私よりも興奮するな。

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月野A。高二。顔面国宝の持ち主で、自分への評価もくそ高い系女子。絵心甚八の従妹。