気持ちを落ち着かせるもの【ノートン･キャンベル】 ページ2
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「ノートン」
エウリデュケ荘園。
一見古い廃館のようだが、確証のない報酬のために様々な人々が血を流し走り回るデスゲームが行われている恐ろしい場所だ。
そんな館のある一角の部屋からひとりの女の声が微かに聞こえた。
彼女は開けっ放しになっている扉に軽くもたれ掛かり、この部屋の主である男の名前を呼んだ。
「……ん」
少し長い間を置いて男が返事をした。
ノートンと言われた彼は寝起きなのか、寝っ転がっていたベットからもぞもぞと起き上がった。
そして、扉の前の彼女を見ると少し嬉しそうな表情を見せる。
その表情はやや引き攣っている。
彼は顔の左半分にケロイドがあった。これは昔の彼のしたある事でできた火傷だ。
だが、傷があっても程よく垂れた目に長い睫毛。ホリが深く整った鼻筋。傷がなければ歩いているだけで人目を惹きそうな容姿だ。
さらに元探鉱夫ということもあり、ガタイがいい。
そんな彼もこのデスゲームに参加しているうちの1人である。
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「どうしたのA？」
寝起きで少し掠れた声でノートンは聞いてみた。
少し疲れたような顔をしたAは意を決した顔持ちでノートンの元へ歩み寄る。そして一言、
「ノーティー、雄っぱい触らせて」
知らぬ人間が聞けば素っ頓狂な声を出してしまいそうな内容が溢れた。
ノートンはそれを聞くと、無言で腕を広げAにベットまでくるように誘った。
Aは勢いよくノートンの胸元に抱きついた。
そのまま彼の胸を両手で揉み始めた。
「ん、どうしたの…？」
Aが自分の胸を触り始めたのを確認すると、ノートンは彼女に今一度聞いてみた。
「今日ね、全然チェイス出来なくて…救助も…恐怖くらってみんなに迷惑かけちゃって…」
顔をノートンの谷間に埋めながらAは答えた。
ノートンはそんなAの頭を撫でながら静かに話を聞いていた。
「…別に毎回あるわけじゃないでしょ？僕だってチェイスがもたない時はあるし、救助恐怖を喰らう時だってあるよ」
「…ぅん」
力なく答える。
Aはノートンの谷間に顔を埋めたまま思いっきり息を吸い込んだ。
肺にノートンの匂いをいっぱいためて、吐き出す勢いで「好き」とこぼした。
「…僕もだよ」
自分の胸に縋る彼女を優しく抱きしめながらノートンは微笑んだ。ケロイドがで多少顔が引き攣りながらも幸せそうに笑った。
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作者名：にろりん | 作成日時：2021年3月5日 12時
