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大広間の中に入ると、そこはもう昼餉の用意が着々と進められており料理の良い香りが立ち込めていた。
その中では、せっせっと出来上がった料理や取り皿を運んでいる短刀や脇差し達が目に入る。
すると、取り皿を机に運び終えたであろう短刀の一振である今剣が私に気付いたのかタタッと足早に駆け寄ってくる。
今｢あるじさま〜！！｣
貴｢手伝いは終わったのかい？今剣｣
今｢はい！あらかたのことは、ぜんぶおわりましたよ〜｣
貴｢そうか、光忠たちはまだ厨か？｣
今｢はい、でもりょうりはつくりおわったのでこちらにすぐくるとおもいますよ〜｣
そう言い、嬉しそうに笑いながら今剣が腰辺りにギュッと抱き着いてくる。
そんな今剣の頭を撫でていると、周りの皆も私に気付き始めたのかこちらへと近寄ってくる。
加｢主、来るの遅かったね。何かあったの？｣
貴｢少しな。さっき、朱月と穂月が来ていて、話し込んでいた｣
大｢え？朱月さんと穂月さんが来るなんて、凄い久々だね。何か用事？｣
貴｢まぁ、そんな所だ。その事についても、昼餉を食べながら話そう｣
そう言い、抱き着いていた今剣を一度離して席に座るよう今剣、清光、安定をほだす。
すると、了承の意を示して三人はそれぞれの刀派の自席へと歩いて行く。
貴｢……さて、こんのすけには油揚げがあるから一緒に食べて行くと良い｣
こ｢はうっ！はい、ありがとうございますぅ！｣
貴｢よし、なら一緒においで｣
そう言い、肩に乗っていたこんのすけを一度腕の中へと抱え直し私も自身の席へと向かう。
そのまま、今日は粟田口派の席へと座る。昨日、薬研と乱に頼まれて明日の昼餉は一緒に食べるという約束をしていたのだ。
貴｢うん、こんのすけは私の膝に座ると良い｣
こ｢はい、ありがとうございます！主様｣
そう、嬉しそうに尻尾を振りながらこんのすけがちょこんと私の膝へと座る。
それと同時に、奥にある厨からぞろぞろと厨当番である子らが出てきた。
その中に、薬研も居り私を見つけるや否やこちらへ駆け寄ってくる。
薬｢よっ、たーいしょ。来てたんだな｣
貴｢嗚呼、つい先程な｣
薬｢へぇ、そりゃまた今日は何かあったのか？いつもより遅い到着だが……｣
貴｢まぁ、客人が来ていてな。その客人ももうすぐ堀川が連れてくると思うぞ｣
私がそう答えると、薬研が不思議そうにこてりと首を傾げる。その時、ちょうど先程見た顔ぶれが大広間へと入って来た。
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作者名：千本桜 | 作成日時：2021年7月12日 23時
