第二話 ページ8
貴｢ふむ、分かった。変装ならば私の得意分野だしな｣
朱｢ありがとうございます｣
貴｢構わん、これも私の役目だからな。……話はここ辺りで終わろうか。お前たちも疲れたろう｣
そう思い、恐らくずっと部屋の傍で控えていただろう堀川に声を掛ける。
貴｢堀川、居るか｣
堀｢はい、ここに｣
貴｢朱月と穂月を、客室に案内してくれるか。私は、少し皆に今回の話をしてくる。堀川はずっと聞いていて分かったろう？｣
堀｢すみません、少し気になって聞いちゃいましたけど……｣
そう、私が言うと堀川は眉を八の字に曲げて申し訳なさそうに話す。
貴｢いや、構わんさ。後々、話すことだったしな。それじゃあ、二人を頼めるかい｣
堀｢はい！任せて下さい。それじゃあ、朱月さんと穂月さん。お部屋に案内しますね｣
朱｢はい、ありがとうございます。……お気遣い感謝します、A様｣
そう、静かに笑う朱月に私も少し笑みを浮かべながら首を振る。
貴｢いや、明日に備えてよく休むと良い。何かあれば、私や他の子に言ってくれ｣
朱｢はい、そうさせて頂きます｣
穂｢それではA様、また後ほど……。
そう言い、朱月と穂月はまた頭を下げて堀川へと連れられて部屋を後にした。……部屋に残ったのは、私とこんのすけのみとなる。
貴｢……さて、こんのすけ。私たちも皆に今回の任務を話に行こうか｣
こ｢はい！そうで御座いますね。皆様なら、大広間に居ると思います故、一度参りましょうか｣
貴｢そうだな。この時間帯なら、内番を終わらせているくらいだろうから、ちょうどタイミングが良いかも知れんな｣
そう私が言うと、するりとこんのすけが肩に乗る。そのまま私達も、柊の間を後にして大広間へと足を向かわせた。
柊の間から、歩いて数分。すぐに、大広間の近くまで歩いて来たと思えば大広間の戸が開かれ見慣れた二人の人影がいた。
そんな、二人へと歩いて行き声を掛ける。
貴｢髭切、膝丸。内番終わりか？｣
髭｢あ、主〜。うん、ちょうど内番が終わってお昼だから短刀たちにお呼ばれしたんだ｣
貴｢そうか、ならちょうど良いな｣
膝｢何がちょうど良いんだ？｣
貴｢少し話があってな。皆、大広間に居るか？｣
膝｢ん？嗚呼、全員居るぞ。俺と兄者、それと主で来るのが最後だったようでな｣
そう、膝丸が答える。すると、髭切と膝丸が中へ入って行く。それに続くようにして私も入る。
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作者名：千本桜 | 作成日時：2021年7月12日 23時
