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朱「−−お久しぶりです、A様」
穂「お久しぶりです」
そう、二人は静かにAの向かいにゆっくりと座り頭を下げた。そんな二人に、ゆるりと口を開く。
貴「嗚呼、久しいな。朱月、穂月」
朱「はい、本当にお久しぶりです。お元気そうで、安心致しました。−−この度は、何の連絡も無しに参ったこと申し訳御座いません」
貴「良い、どうせ上の者が急いて寄越したのだろう。お前たちのせいではないさ」
穂「っ、ありがとうございます」
そう、もう一度二人揃って目の前に座る少女。Aへと感謝と謝罪の言葉を述べる。
貴「……それで、そんなにも急いで来たのだ。要件は何だ?」
朱「上の方より、急な命令が下ったのです。−−政府が、様々な時間や空間を取り締まっているのはA様もご存知ですか」
貴「嗚呼、無論知っている。そこに問題でも起きたのか?」
穂「……はい、A様が言う通り少々問題が起きたのです。とある空間に、歪みが生まれある人物を時間遡行軍が狙っているという事が判明したのです」
そう言うと、近くに座っていたこんのすけが目を見開く。
それもそうだろう、空間に歪みは生まれることは多少あるがその空間にいる人間を遡行軍が狙うなどあまりない事だからだ。
貴「成程、それは少し怪しいな。……それで、その歪みについて私の本丸で調べろ、とでも言ったのだろう?彼奴らは」
朱「−−はい、少々その歪みが不明な点が多いという事で今回は貴女様に調査への白羽の矢が立った次第です」
貴「やはり、か」
そう、ポツリと呟きを零すと二人は徐々に顔を歪めていく。どうやら、この任務内容についてはあまり賛成ではないと言った様子だ。
貴「了解した、その件は引き受けてやろう。どうせ、私が断った所で何もなるわけでも無いしな」
朱「……申し訳御座いません。俺たち対策課も、流石に貴女様に任せ切りだと反論したのですが」
貴「ふ、良い。彼奴らが、一度決めたことを早々取り止めることなど無いからな」
そう言い、Aは隣に座っていたこんのすけの頭を一撫でしてからもう一度二人へと向き直る。
貴「それで?その任務の内容について説明して貰えるかい」
穂「はい、勿論です。−−今回、歪みが生まれた場所ば米花町゙と呼ばれる場所です。A様にはそこで、歪みの原因究明と護衛をして頂きたいのです」
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作者名:千本桜 | 作成日時:2021年7月12日 23時