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風が強く吹いた、猫が騒ぐ夜に、私は大きな月を空に抱く、魔法の世界にやって来た。
大きな月は＜大いなる厄災＞と呼ばれ、この世界に災いをもたらす。
＜大いなる厄災＞と戦う、魔法使いたちを導く賢者として、私はこの世界に招かれたという。
−−世界を救うために。けれど……。
この世界で、最も有名な智者であり、月に魂を砕かれたというムルサン。彼にはこう告げられた。
ム『本音を言えば、世界はどうでも良いのです。人助けは、面倒ですからね。ただ……。
この世界の真実を、貴女に見つけて欲しい』
そう、話していたムルサンの言葉を思い出しながら静かな夜の光景を見つめる。
そう考え事をしていると、あっという間にアーサーサンの箒は魔法舎にある私の部屋へと着いていた。
貴｢送ってくれて、ありがとうございます。アーサーサンも気をつけて帰って下さいね｣
ア｢えぇ。おやすみなさい、賢者様。良い夢を｣
貴｢はい、おやすみなさい｣
そう一言二言、最後に言葉を交わすとアーサーサンはふわりと笑い箒でまた中央の国へと戻って行った。
貴｢(式典、楽しみですね。魔法使いたちの肖像画も王宮に展示されると言っていましたし。
各国の祝い料理も食べられて、各国から多くの客人も来る)｣
私はそう思いながら、ゆっくりと式典のことについて思考を落とす。
貴｢(魔法使いのことを、怖がる方や、誤解する方々は、未だに多くいますが……。式典や、魔法使いの肖像画が、魔法使いの皆さんが愛されるきっかけになれば良いのですが……)｣
そう思いながら、魔法舎にいる彼らの顔を思い起こす。普通の人と何ら変わりなく、日々を生きている彼ら。
普通の人のように笑い、食事をして、遊び、学んでいる彼ら。それは、魔法という力と長寿であることを抜けば普通の人なのだ。
……私のように、見えざるモノの相手をしている方がよっぽど恐れられる。元の世界でもそうだった。
けれど、彼らは違う。人と同じような日々を過ごしている。それを、魔法使いを恐れている方々に少しでも分かって欲しい。
−−いずれ、私がこの世界から元の世界に戻るまでは。私は、彼らを導く賢者なのだから。
ここまで、入れ込むなんて最初は自分でも思っていなかった。……けれど、彼らと触れ合っていくうちに放っては置けなくなってしまった。
ならば、最後の時まで彼らを導き、最も最善の終わりを彼らに与えたい。
続く
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雪姫(プロフ) - 続き待ってます!!!!!!!!! (8月20日 14時) (
レス) @page6 id: 70f5cfe725 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 初めまして、呪術廻戦の方も見させていただいておりました。またこのお話が更新されることを心待ちにしております (2021年12月3日 14時) (レス) id: 7054f2498a (このIDを非表示/違反報告)
流羽(プロフ) - いきなりすみません。いつも楽しみに読まして頂いています！続きを楽しみにしているのですが、この作品はもう更新されないのでしょうか？よろしければ頑張ってください！応援しています！ (2021年10月4日 23時) (レス) id: 1f2d62cad4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千本桜 | 作成日時：2021年2月6日 20時
