弐夜 ページ4
すると突然、少女の瞳がとある場所を捉えた。そこを一点に、見つめ続けるとスンと一つ鼻を鳴らす。
貴「…………血の、匂い」
ボソリと、そう小さく呟くと少女はトンッと木から近くの木へと降り立ちピュイッと指笛を一つ鳴らす。
すると、サッと後ろへ誰かの気配がすぐさま現れる。その身は、少女と同じく黒い衣装を纏っており夜の闇と同化している。
?「……お呼びでしょうか、"頭領"」
貴「西に、異常あり……。己は、コレよりその場へ偵察へ行く。後のことは、任せる」
そう言うと、後ろに控えていた忍……。【
葛「はっ……。それでは、屋敷のことはお任せを」
そう、短い返事と共に葛葉が一瞬で消え去る。其れを見届けけると同時に、少女は木を蹴り走り出す。
貴「…………」
すると走り始めてから、あっという間に血の匂いの原因であろう場所へと辿り着く。すぐさま、少女は背負っていた太刀を抜き歩き始める。
貴「(匂いは、強い……。この匂いだと、傷は深いか)」
静かに歩いていると、匂いが最も強い場所へと辿り着く。そこには、血溜まりと一人の女性が居た。
その目の前には、匂いの原因であろう"ヒト"と呼ぶには程遠い化け物が女へと襲い掛かろうとしていた。
?「ッ…………!!!」
化け物が、ポタポタと口元からだらしなく涎を滴らせながら女へと近寄る。その目は、ギラギラとギラつき獲物を狙う瞳をしている。
そして、女が出血しているであろう脇腹を抑えながらズルズルと少女が居る後ろへと後退していく。
少女は、それを見やると付けていた狐の面を被り直しすぐに女の前へと躍り出る。
鬼「アァん?何だァ、テメェ?何処から、来たんだァ?」
貴「……応える必要性が、無い。此処は、己の領地である。即刻、立ち去るが良い。異形の者」
少女が、そう言い構えていた太刀をヒュンッと言う風を切る音と共に異形の者"人喰い鬼"へと切っ先を向けた。
鬼「領地ィ?そんなの、俺には関係ねぇなぁ?俺は、その女を喰いてぇだけなんだぜ?」
貴「愚か也、我が領地で血を流すはそれ即ち己が敵である」
そう言い、少女はゆっくりと息を吸う。そして、すぐにダッと勢い良くその場から飛び出す。
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:千本桜 | 作成日時:2019年8月6日 16時