☆ ページ44
「これより、新国王の任命式を行う。
新国王グルッペン・フューラーよ、前へ」
広い会場に響く城勤めの人の声。呼ばれたフューラー様は堂々と前へと歩いていく。
その歩みに迷いは無く、真っ直ぐと前に立つ。
「グルッペン・フューラー殿。今この時、貴殿はこの国を担う者となる。…この国の為に尽くせると誓うか」
「我が身が滅ぶ時、それは国が滅ぶ時になるだろう……逆もまた然りだ」
そう笑うフューラー様に誰もが見蕩れる。そして、直感で感じるの。
この国の真の国王は彼だと。フューラー様が玉座へと座る。それと同時に沢山の人間が彼の前で跪く。
新しく、私たちを導いてくれるであろうと信じて。
「…続いて、新国王による公爵家の引継任命式に移る」
…私の番ね。ちょっと緊張するけど、フューラー様の見たら少しだけ落ち着いたわ。
「…パッヘルベル家新当主、リン・パッヘルベル」
フューラー様に自分の名を、呼ばれ、立って歩き出す。…ドレスが揺れてふわふわしているのに少しだけ重い。
…期待とか、不安とか、そういうの。
いい意味で、背負ってるわ。これくらいが丁度いいのよ。
公爵家の席から心配そうに見ているぴくとさん、レイヴィスとハインツ。
パッヘルベル家の親族席ではショッピが私よりも緊張しているのが見られた。
そして、この会場のどこかから見ているみんな。ああ、全員が私を見てる。
頭の中には私しか居ないのね。…どうしようもなく、それが気持ちを昂らせた。
フューラー様の目の前で立ち止まる。宝石のような紅い瞳と目が合う。
「…リン・パッヘルベルよ、公爵家当主としてこの国に忠誠を誓えるか」
「…我々国の貴族家なるもの、その命は国と…国王と共にあります。敬愛と忠誠を貴方に」
フューラー様の目の前で跪き、その手を取ってキスを落とす。見上げれば、不敵な笑みを浮かべたフューラー様。
「…立て、リン。……新しくなったこの国を俺と、俺たちと共に創っていこう!」
手を広げて豪語する姿は、既に国王と化していた。…この人には、一生かけても勝てない気がするわね。
…ふふ、新しい国ですって。場所も名前も同じなのにまるで新しいもののように言う。
それが、とても気に入った。
新しくなるなら、私からこの国に新しい言葉を授けようかしら。この国に相応しい言葉を。
賞賛と、忠誠を我々の国へ。
「ハイル・グルッペン」
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時