☆ ページ40
「…何も思わんかった。ああ、俺売られるんや〜って…。ぶっちゃけ、オークション出された時怖かった…どこに飛ばされるんやろってな。
俺、運が良かったみたいでな…シガーレッツ家の現当主に買われたんや。ほんま、ええ人や…俺を本当の家族みたいに思ってくれとるんやで…それでも、所詮は他人。壁っちゅーもんは存在した」
コネシマ様が悲しそうに笑う。…そういう事なのね。コネシマ様が、執着する理由は。
「学校入って、グルッペンに生徒会に来ないかって言われて、仲間が出来た。…それでも、俺には足りんかった。そんな時や、2年になってノエルが現れた」
慈愛に満ちた目で、自身の手を見つめた。
「今から、馬鹿みたいな話すんで」
「…上等よ」
「…不思議やなぁノエルは。壁、躊躇なくぶっ壊して直ぐに俺の中に入ってきた。あんなん、初めてやった。
初めて、人を守りたいと思ったんや。愛を知らんかった俺に、あいつは…愛っちゅーのを教えてくれた」
拳を握りしめ、目元を擦り始める。鼻をすする音が教室にこだまする。
「…俺は、怖かったんや。…ノエルを失うのが……この気持ちを失うのが。
また、独りになりたないねん」
…空だったコネシマ様の心の中に突然現れたノエル。彼の中で、彼女の存在が大きくなりすぎてしまったのね。
結果、それは凶と出てしまった。
「…コネシマ様は、一途ね」
「…はぁ……?」
「何事に関しても、ひとつの事に夢中になりすぎてまるで周りが見えてないわ。…ねぇ、本当にノエルしかいないの?」
これまで長い時間を過ごしてきた、アイツらはどうなのよ。心のどこにも居ないって言うの?
「…ん、みんなおる」
「なら怖くないじゃない…大切な人を失っても、支えてくれる人がいるんだから」
「…お前……せやなぁ。俺にはアイツらがおるもんな…独りやないし、一人になりたくてもさせてくれへんやろうし」
初めて、私に向けられた笑顔は年相応にも、少年のような笑顔にも見えた。
「…ほんま、色々すまんかったな!これから仲良くしてこーや!」
「…あなた、心を開いた人間にはグイグイ来るタイプなのね…」
心の距離も、少し近づいたところで…
「みんな待ってるから帰りましょ、コネシマ」
「…っおん!!ほな、リン行くで!」
私の手を掴んで走り出すコネシマ。は、速い……
案の定、手を繋いでいたことを直ぐにゾムが指摘してきた。
番犬も絶好調ね。
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クロスてゃん - ありがとうございますぅぅぅ!アルネの事件簿と気づいてガチ泣きしました…本当に嬉しいです更新頑張ってくださいね! (2021年11月23日 23時) (レス) id: c934f9389d (このIDを非表示/違反報告)
??? - この小説なんなん? まじ泣きしてしまうわ (2021年10月3日 20時) (レス) @page27 id: 2651f7c57d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - この使用人たちの名前。主人公の名前。家が大火事。………おっとぉ??? (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - もし違ったら失礼なのですが。この小説の使用人たちの名前って、某超絶イケメンの最凶の吸血鬼エビリィ!ブラッティ!ノインテーター!!のお方とあの触覚が愛らしい吸血鬼マニアちゃんとその他いっぱいの人気推理ゲームじゃないすかぁ!何ですかこれ、素敵です!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
理那(プロフ) - そうだ、名前変換で気付かなかったんだ。この主役、"リン"ちゃんだ。 (2020年8月2日 18時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年4月2日 10時