☆ ページ39
「ただいま戻りました」
「おかえりなさいリン。旦那様が呼んでいるわ」
お母様の言葉を聞いたあと、直ぐにお父様の仕事部屋に向かう。
トントン
「リンです。ただいま戻りました」
入れ、と中から聞こえてきたのを確認してからゆっくり扉を開ける。
そこにはお父様と、オリディール公爵とビルグレイツ公爵がいらっしゃった。予想していなかったので、心拍数が上がっていくのを感じる。
挨拶をしなければ。
「ぉ…お初にお目にかかります。エスカ・パッヘルベル公爵が娘、リン・パッヘルベルと申します」
粗相はなかったようで、私も椅子に座るように言われる。
話題はやはりキャルベッス家について。
「結論から言うと…証拠が無くて潰すことが今は不可能だ」
お父様の落ち着いた声が耳にすっと入っていく。
どうやら、旧校舎の監視カメラが作動しておらず、証拠となる映像が残らなかったと言う。
キャルベッス家の使用人あたりね。
「そこでリン。君には辛い役目を負わせてしまう……引き受けてくれるかい?」
お父様の覚悟を決めた顔。確かに、私は子供。本当の社会をまだ知らないような小娘。
されど、パッヘルベル家の一人。
立派な、貴族嬢。
「それが、貴族界の役に立つ事なら…私はそれに従います」
やはり、貴族は怖い。権力の為ならどんな事でも厭わない。
でも、それでこの世の中は成り立っている。
強者がいるなら、必ず弱者がいる。当たり前の事なのよ。
こうして、生きていく術しか今の貴族には無い。私は、いつかそれを変えたい。
甘い考えだと思うわよ?それでも、この社会を変えられるような人間になりたい。
「リン、キャルベッス家を潰すための証拠を集めてきてくれるかい?」
「承知致しました…」
お父様の部屋から出て、自室に戻る。そういえば、今日は世界史の宿題が出たのよね…
頭の出来はいい方なので、問題をスラスラといていく。
現実も、こう上手く行けばいいなんて考えたのはここだけの話。
『二人にお願いがあるの…
ずっと、私の味方でいて』
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こんにちは - 騙されましたほんとにめっちゃびっくりしました (2023年1月9日 0時) (レス) @page47 id: 01cd7b0a2a (このIDを非表示/違反報告)
Nikotya* - 最後のやつ見事に騙されました(・ω・`) (2021年8月11日 10時) (レス) id: 19e8c2f272 (このIDを非表示/違反報告)
とぅめぃとぅ - クリーパーとメルヘットとメンツーユはダメですってwwww (2021年5月30日 22時) (レス) id: fb32157b21 (このIDを非表示/違反報告)
木材(もくざい)(プロフ) - 文章の書き方がとても美しいです...感情ののせかたがとても上手で初めのこねしまさんに髪を捕まれるところで夢主に感情移入してしまって思わず涙が出てきました。とても尊敬します...。 (2020年7月12日 17時) (レス) id: cfd7089d94 (このIDを非表示/違反報告)
maron(プロフ) - zmさんとsypさんとciさんの名前で笑いすぎて鼻水吹いちゃいました()どうしてくれるんですか() (2020年6月18日 16時) (レス) id: 18f49ca017 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年3月28日 10時