88話 味は最大の問題 ページ49
「エーミールさん」
「なんでしょうか?」
「この本少しお借りしても宜しいですか?」
「…っ!?……それ、は………分かりましたが、あまり危険なことはなさらないでくださいね」
エーミールさんの心配が表情と声音から伝わってきた。お礼を一言してまた部屋へと戻る。
「…久々だから、ちゃんと出来るか分かんないなぁ……」
キッチンの前に立入禁止の看板を掛け、中に入る。水を入れた鍋を沸騰させる間に薬草を切り刻んでいく。
3種類の薬草を沸騰した鍋に全て入れてゆっくりと混ぜる。
色が段々と濁って最終的には緑色になる。
毒々しい色をしたそれを一気に喉に通した。吐き気のするような味に口を抑えて我慢する。
ほんと、前から思ってたけど薬の味何とかならないのかな。割と重要な問題じゃないのこれ。
…とりあえず、これで大丈夫かな。
「…あれ、A何してるの?」
「ひとらん隊長…いえ、少しだけ気になる料理があったので作って食べ終わったところです」
「へぇ…それなら誘ってくれても良かったのに。俺も食べたかった。…で、美味しかった?」
「…全くです」
嘘はついてない。
「今から夕食の味噌汁作るから、夜楽しみにしててね」
「はい、ではまた夜に」
キッチンから出て一度自室に戻った。
扉を開けた時、視界に入った緑のパーカーに驚く。こっちを見てニヤッと笑ったのは言うまでもない。
「…どうかしましたか、ゾム先輩」
「…A暇やろ?ちょっと構ってぇや」
「……え」
暇ではないんだけど…これは、その。
狡いと思います。
承諾すればグイッと手を引かれて窓の外へ飛ぶ。結構高いんですけど、この部屋の外って。
「行きたいところでも?」
「城でいっちばん高い所!」
「…あそこかぁ……」
かなり高いところにある我々国のエンブレムの旗を見てため息をついたのはここだけの話。
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時