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76話 逆転の時 ページ36

華やかな衣装をまとったレティが入場してくる。

姿だけは本物の聖女のようだった。



グルッペン様が意地の悪い顔をして、私にコソッと言う。


「…A、神父は今日初めてレティを見るらしいぞ……この意味は?」

「…神父様が聖女の条件について知っているなら……この場で偽の聖女と気付く…ですか?」

「その通り……面白くなってきたと思わないか?」



そうですね、と少し笑ってみせる。

女神像の前に立つ神父様の目の前にレティが立ち止まり、その目をゆっくりと開いた。




…神父様が、息を呑んだ微かな音が耳に入る。


「…ま、さか……」


動揺を隠せていない神父様を見て、会場の人達が心配そうな表情になっていく。当のレティはそれに気づく余地はない。




…そう、これでいい。

グルッペン様がザワつく会場の中、よく通る声で言う。




「どうした神父よ、そのまま進めないか」


「…は、はい……聖女レティ、その名において役目を果たすことを誓うか…」

「はいっ」


「…女神像に手をかざせ。聖印が腕に描かれるだろう…それがこの国の聖女という証となる。

さぁ、腕をお貸しください」





白くキメ細かい綺麗な腕をレティは女神像にかざした。
















もちろん、いつまで経っても変化はないが。



「…あ、あれぇ……なんでだろう…」


焦りを見せるレティに、グルッペン様は邪悪な笑みを向ける。その顔に気づいたレティは徐々に青ざめていく。

時間が経つにつれ、おかしい、と会場の不安は大きくなっていく。

「何が起きてん……」


トントン書記長の呟きに答えるかのように、書記長の隣に座っていたチーノが笑を浮かべ立ち上がる。

今度は何事か、とチーノに視線が集まる。その視線を受止め堂々と女神像の方へと歩いていく姿は頼り甲斐のあるものだった。



「…神父さん、何故こうなっているのか分かってるんでしょ?」

「…チーノくんっ……やっぱりこの人がなにか企んでレティが聖女じゃないって風にしようとしたんだよねっ……」



「…っははは!馬鹿ですかアンタ…まだ理解出来てないんですか?

アンタは聖女じゃないってことなんだよ」









その言葉に思わず誰もが言葉を失う。

聖女侮辱罪、その言葉が頭を駆け巡る。

次の言葉にその言葉も頭から消え去るが。









「…本当の聖女様は、もうここにいますから」

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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年6月6日 9時

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