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72話 独占欲の安心感 ページ32

「…今更、私がただの人間だったら…なんて考えてしまいました」


すこしだけ驚いたような顔をしたグルッペン様は、直ぐにふっと笑う。


「…A、お前はただの人間なんかでは無い。…聖女という事実に誇りを持っていいんだ。それに聖女じゃなかったとしても、お前の存在価値は無限大だろう?

この国を、守れるんだからな」





そう笑いかけてくれるグルッペン様を見て、また改めて…この国でよかった…彼らでよかったと思えた。


「…貴方に着いてくることが出来て、私も嬉しいです」


少しだけ自信が持てた。


「…それでええわ」

久しぶりに聞いたグルッペン様の訛りに肩の力は完全に抜けてしまった。






「話し終わったか?」


突然した声にグルッペン様と共に驚き天井を見上げればムスッとしたゾム先輩がダクトから顔を出していた。

…全く気が付かなかったのはグルッペン様も同じようで。

先輩の真意に気づいたのか困ったように笑っていた。……あからさま過ぎますよ、ホントに。



「…グルッペン、独り占めは良くないで」

「それをお前が言うか…?」


先輩の、私よりひとまわり大きな手が頭に乗る。少しだけ指を立てられ心地よく感じた。


「…ほぉ〜ん……ここがええんやな」

「…エ ロ小僧だな」

「うるっさいわ」


先輩に無理やり立たされ部屋から出ろと背中を押される。慌ててグルッペン様に挨拶すればとても楽しそうに笑っていた。

……あの人、楽しんでるなぁ……



「…先輩、1人で歩けますから背中押さないで…」


「離れたらレティに何されるか分からないやろ……




って言う、Aに少しでも触ってられる口実だったらアカン?」





すぐ後ろで聞こえた声に思わずゾクッとする。…不思議と嫌ではないが。

肩に乗っていた手が不意に先輩とお揃いのピアスを撫でる。優しい手つきに…本当に人を殺している人間だとは思えなくなる。


「…拒絶しないねんな」

「すると思いますか?」

「いや。むしろ、マンザラでも無いんやろ?」





「…先輩のそういう所は私嫌いですよ」

「ホンマに?」

「……嘘ですよ」





明日どうなろうと、なんだか大丈夫な気がする。

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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2020年6月6日 9時

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