49話 異様 ページ7
その後はなんてことない話や聖女についての話など様々な話をした。
どうやらグルッペン様は兄さんが本物の聖女記を持っている事を知っていたらしい。条件やそれ以外のことも。
「…では、チーノが預言者という事が分かった上で彼を助けたと言うことですか?」
「もちろん、それもあるが……自分の国民が死に絶える姿を黙って見過ごす訳にもいかないだろう?」
国民を思う気持ち。この御方の強みのひとつだ。当たり前のことをそつなくこなす…
易々とできるものでは無い。
「グルッペン様は、人望の擬人化のような方ですね」
「それは…褒めているのか?」
「もちろんですよ」
久々に過ごすグルッペン様との時間。エーミールさんとはまた違う安らぎ感。
きっと他の人が見たらこの風景は異様なんだろうけど。
徐々に扉の外から足音と人の声が聞こえてきた。もう終わりの時間か…楽しい時間はあっという間って訳だな。
扉を開いたコネシマ隊長は私とグルッペン様の姿を見て息を飲んでいた。
他の人も同じ。鬱隊長もシャオロン隊長も、まるで目が離せないと言わんばかりの顔だ。
「A、とても有意義な時間だった。感謝するぞ」
「こちらこそ、とても楽しい時間でした。ありがとうございます」
グルッペン様の目は、この状況を楽しんでいる目だった。
まだ明かすことの出来ない真実を片手に持ち、もう片手では使い古したボロボロの“嘘”を手のひらで転がして遊んでいる。
その楽しさが、私には分からないが。
「おはようグルッペン!!」
レティのその鈴のような声を、グルッペン様は嘲り笑っていた。
そんな反応をされるとは思っていなかったレティは、一瞬の動揺の後、私をキッと睨んでいる…
いいの?
コネシマ隊長見てるけど。
「グルッペン、Aちゃんと何話してたの…?」
「お前に言う必要のない事だ」
「でも、仲間でしょ?」
…何が仲間だよ。私たち全員の事“自分の思い通りに動いてくれるキャラクター”としか思ってないくせに。
「仲間だろうがなんだろうが関係はない。Aにしか話せないことが俺にもあるんだ」
「…グルッペン、それは俺たちにも言えへんことなんか?」
コネシマ隊長が確かめるように問う。グルッペン様はその言葉を肯定する。
「…俺たちにも言えないことなら、しゃあないわな」
「…ぇ…し、っま……?」
なんて、醜い目をしてるんだろう。
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ポンコツ - めっちゃ面白くてどんどん読めました!マジ神作! (2021年5月15日 8時) (レス) id: 325f452e67 (このIDを非表示/違反報告)
隻狼姫(プロフ) - えっ、おすすめに出てきたから見てみたら面白くて一気読みしてたんですけど、まさかお気に入り登録してるtwst小説の作者さんだったとは…そりゃ面白いわけですわ… (2020年10月7日 21時) (レス) id: efc986c11a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 次回が最終回…だと…!?うああああ……待ちきれないぃぃい…。むっちゃ楽しみです!! (2020年9月26日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
kiito - あぁー最終章に突入してしまった〜!嬉しいけど寂しい(´;ω;`) (2020年9月21日 22時) (レス) id: 840ffe907d (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃ(プロフ) - レティまさか、、、味噌汁に*を、、!?だから夢主は*に関する本を教授のいる図書室から借りてキッチンで*を作ってから飲んで耐性を付けたんですか!!?(*←のところ合ってるか分かんない、、) (2020年9月16日 20時) (レス) id: c3d604437a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸桜+α | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2020年6月6日 9時