続き ページ42
触れるだけのキスをしてから、数秒経った。だが、未だに舌が入って来ないので、こちらから入れてやる。その途端にバッと離れたマルコス。
｢え！？……え？｣
｢何よ｣
｢き、キスって唇同士を合わせるだけじゃ……｣
｢……まだ子供だね｣
ニヤニヤと笑う私に、動揺を隠せないマルコス。あたふたとしながら、顔は真っ赤だ。多少なりとも強がってやったのだろうと思われる。ビッチを舐めないで欲しい。
｢A、入りますよ｣
と、これまたいいタイミングで来客がやってくる。扉を開けて入ってきたのは、口調でわかる通り、アダムである。
｢やあ、アダム。ちょうど良かった｣
｢……何がちょうどよかったんですか。来客中なら教えてください｣
｢まあまあそう言うなって……このガキんちょニートに、大人のキスを見せてやろうと思ってさ｣
親指で後ろを指した私に、アダムは眉間に皺を寄せる。マルコスは状況に追いつけないのか、固まっていた。
｢……そういう事は、恋仲になってからでは？｣
｢私は恋仲じゃなくてもしてる｣
｢なるほど。では、レディの仰せのままに｣
流石は適応能力の高い騎士団長。壁に私を縫い付けるところまではマルコスと同じだ。だが、その後には腰に手を回し、唇を合わせて、舌を絡める。
私は首に腕を回した。そして、応えるように舌を絡ませる。何度も、角度を変えて。
さて、置いてけぼりのマルコス君。顔を手で覆い隠しながらも、チラチラとこちらを見ている。数分後、アダムと私が唇を離した時には、頭から湯気の出ているマルコスを目撃していた。もちろん、床にへたり込んでいた。
｢おや……やりすぎでしたかね？｣
｢いやぁ、どうだろう……私はこの位なら軽いと思うんだけどなぁ……｣
｢ひぃい……もう無理、もうわかったから……見てる僕が恥ずかしいよ……｣
やはりお子様には早かった様だ。ぽんぽんと頭を撫でてやるが、顔を赤らめ涙目になりながら睨まれた。
｢……童貞って可愛い｣
｢僕は男だ……｣
｢お子様って可愛いでちゅねー？｣
｢……私のいない時にしてください。それと、ジャンヌからです。置いておきますよ｣
テーブルに置かれたクッキー。そして、後ろからはドアの音。アダムが居なくなった時に、また見上げられた。
｢なんで大人はそんなにずるいんだよ……｣
｢大人はみんなずるいのさ。ずるいからこそ大人なのさ｣
泣きべそをかくマルコスも、ずるいような気はするけれどね。まあ、それは私の心の中に留めておこう。
風邪っぴき(Voidoll、13、乃保)→←強がりにも限界はある(マルコス、アダム)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
jazz(プロフ) - デラックスお餅さん» 純粋な感想ありがとうございます！何かネタが降ってきたら書けるんですがね……（笑）「コメント アリガトウゴザイマス。コレカラモ ヨロシクオネガイ シマス」 (2019年1月26日 22時) (
レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
デラックスお餅 - 面白い！次回に期待... (2019年1月26日 20時) (レス) id: 38e0588fa2 (このIDを非表示/違反報告)
jazz(プロフ) - まっちゃむーしゅさん» ありがとうございます！13は絶対お酒好きだろと思いましてつい← ｢コメント アリガトウ ゴザイマス。アノ二人 ニハ テヲ ヤイテ イマスガ……イワレタ 本人達ハ トテモ喜ンデ イマスヨ｣ (2018年12月22日 20時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - お酒で直ぐにつられるサティとビッチちゃんがかわええ (2018年12月22日 20時) (レス) id: ea9a3f21f7 (このIDを非表示/違反報告)
jazz(プロフ) - ゲスミンさん» ｢ワタシニ コウイヲ ムケラレマシタカ？ムダガ スキナ ニンゲンラシイ コウドウ デスネ。コレカラモ カンサツ ヲ ツヅケテイキマス｣ご愛読、またご感想、ありがとうございます。 (2018年12月10日 12時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：jazz | 作成日時：2018年11月30日 19時
