続き ページ25
思い返せば、最近、特に多くVoidollに検査をされていた。そして彼女は、毎回の如く数秒黙っていたのだ。つまりは……
｢バグ、寸前だったの……？｣
｢自覚なかったのかよ……まあいいぜ？俺が気づいて良かったな｣
数秒の沈黙。時計の秒針音が響く。私の、荒い呼吸音も。忠臣が口を開いた。
｢……今回はこのぐらいにしておいてやろう。早く退けんか｣
｢無理。お前の意見は関係ねぇんだよ｣
｢同感だ｣
｢ベイビー、自分の立場をわかっているのかしら？｣
金、赤、桃、緑。四人で話が進まない中、黒が口を開いた。
｢もう良いよ、どかして。ミルクティーが冷たいんだ｣
頓珍漢だろうが、私の精一杯の強がりだ。三人は、一瞬、目を見開いてから各々の武器を下ろした。忠臣は無言で立ち上がる。踵を返し、ドアまで来たところで、私を一瞥する。
｢……今日はここまでにしておいてやろう。だが、いずれは我が手中に収めてくれようぞ｣
私は、いつものチェシャ猫の笑顔を浮かべる。
｢無理だね。気が向いたら、抱かれてあげるけど｣
だが、出てきた声は、いかにもなドスの効いた声だった。言っていることは、いつもの台詞なのに。
忠臣が出て行った後、13に抱きしめられていた。意外過ぎて、反応が遅れる。それは、他の二人も同じだったようだ。
｢このビッチ！！！心配させんな！！！｣
｢ちょ、苦しい……｣
｢今回は無事で良かったけどな！A、あと少し遅れてたら｣
｢ストップよ。焦る気持ちもわかるわ。でも、今は違うでしょ？｣
肩を掴まれ、目の前で叱り飛ばす13。感情的になっている彼を止めたのは、ポロロッチョだった。ハッとした13は、頭をクシャクシャと掻きむしり、また私を抱きしめた。
｢でもま、間に合ってよかったな……｣
｢ああ。アリーナでのスキルゲージを余していた事が、ここで役に立つとはな｣
｢本当よ！ルチアーノ、ナイスプレーだわ！｣
いつの間に私の手元のミルクティーは取られていたのだろう。ポロロッチョから、温めた同じマグのミルクティーが差し出される。
｢……ありがとう、三人とも｣
三人が三人、顔を見合わせた。そして私を見つめると、優しく笑った。ズズ、と啜ったミルクティーで、体が温かい。私を受け入れてくれる人が居て、心が温かい。
寂しさは、今は忘れさせて欲しい。そう願いながら、近くの三人を同時に抱きしめた。
スイッチ、スマホ、ゲーマー？(アタリ)→←冷めて、醒まして、温めて(忠臣、13、ポロロッチョ、ルチアーノ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
jazz(プロフ) - デラックスお餅さん» 純粋な感想ありがとうございます！何かネタが降ってきたら書けるんですがね……（笑）「コメント アリガトウゴザイマス。コレカラモ ヨロシクオネガイ シマス」 (2019年1月26日 22時) (
レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
デラックスお餅 - 面白い！次回に期待... (2019年1月26日 20時) (レス) id: 38e0588fa2 (このIDを非表示/違反報告)
jazz(プロフ) - まっちゃむーしゅさん» ありがとうございます！13は絶対お酒好きだろと思いましてつい← ｢コメント アリガトウ ゴザイマス。アノ二人 ニハ テヲ ヤイテ イマスガ……イワレタ 本人達ハ トテモ喜ンデ イマスヨ｣ (2018年12月22日 20時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - お酒で直ぐにつられるサティとビッチちゃんがかわええ (2018年12月22日 20時) (レス) id: ea9a3f21f7 (このIDを非表示/違反報告)
jazz(プロフ) - ゲスミンさん» ｢ワタシニ コウイヲ ムケラレマシタカ？ムダガ スキナ ニンゲンラシイ コウドウ デスネ。コレカラモ カンサツ ヲ ツヅケテイキマス｣ご愛読、またご感想、ありがとうございます。 (2018年12月10日 12時) (レス) id: 915e79c273 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：jazz | 作成日時：2018年11月30日 19時
