29.鉢合わせ ページ30
授業参観の日。どうせ誰も来ないと思っていたのだけれども……
「何故いるんですか白豚!」
「それはこっちのセリフだよ!お前忙しいんだろ!?僕に任せておけっての!」
その予想は見事に裏切られた。来たのだ、二人が。鬼灯さんは帽子をかぶり、加々知として。白澤さんは、(白澤さん自身のセンスがダサすぎて)前に私が選んで買ってあげた服を着て。今現在、クラスの前。私の肝は冷えっぱなしだ。
「恥ずかしいから喧嘩しないで……」
「貴方はろくに話も聞かずに親御さんたちに迷惑かけるでしょう!保護者会では話になりませんよ!」
「はぁ!?お前は他のママさんとの輪も広げられないじゃん!一人でやったって意味なんかないっつーの!」
「もうお前らこっち来い!」
これ以上ヒートアップする前に、二人の腕を掴んで一通りの少ない廊下に連れ込む。鉢合わせたのが朝早くで良かった。二人を正座させる。私は彼らの前で仁王立ち。
「何やってんの?」
「貴女の授業参観に来たんですよ」
「そしたらコイツも居たんだよ!」
「それはわかってんの。なんで公共の場で喧嘩してんの?やめてくんない?」
流石に真顔の説教になる。私の真顔がそんなに珍しいのか、二人は黙りこむ。暫く睨み合った後、鬼灯さんは白澤さんを指差した。
「Aさん!貴女の保護者は前から私だったはずでしょう!この白豚が出る幕などないじゃないですか!」
「はぁ!?それはお前が先にやってたからだろ!僕がお前の立場なら、もっと上手くやれるよ!」
「黙れお前らマジで」
刃を出したカッターを二人の顔の間に割り込ませる。流石に堪えたらしい。二人共しおらしくなる。鬼灯さんがため息をついた。
「……こういうのは、子供の恥になるんでしたね。今日は平和にいきましょう」
「ありがとう。白澤さんは?わかったの?」
白澤さんを見る。ため息をついた後に、彼は口を尖らせながら口を開いた。
「ま、しょーがないから一時休戦してやるか……Aちゃんの負担にはなりたくないし」
二人の了承が出た。取り敢えず乗り切るための策を考える。悩みながらも口を開いた。
「取り敢えず……二人共が来ちゃったのは事故だし……鬼灯さんは元々私の親戚って事になってたよね?」
「よく覚えていましたね。面倒を見ている親戚という立ち回りでした」
「んじゃあ白澤さんもそれでいこう。新しいのは面倒。二人って顔似てるし、双子にしとけば丸く収まるよ」
またもや二人が口論したのは……想像に難くないだろう。
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jazz(プロフ) - ほっぺさん» ありがとうございます(笑)返信遅くて申し訳ありません。ただ、そうして言っていただけるのはものすごく嬉しいです(笑)本当にありがとうございます。 (2018年10月8日 23時) (レス) id: 771b40fbb1 (このIDを非表示/違反報告)
ほっぺ(プロフ) - 召使いという意味合いとは真逆の運命を。例え人の下についたとしても、君は上の者に屈する事は無いだろう。君の名に「丁」の字が生きる限り、君は真の「従者」になる事は無い←これ名言すぎて泣く (2018年9月4日 19時) (レス) id: e10612fce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jazz | 作成日時:2017年12月19日 16時