2話 ページ3
私の報告の後、なんとも言えない沈黙が続いた。
｢ちょっと待ってろ｣
相澤先生はそう告げると、どこかへ行ったのち、マイク先生を引っ張って帰ってきた。
｢いてててて！おいおいイレイザー、授業中だってのに何だよ……っておぉ！Aじゃねぇか！珍しいな！｣
マイク先生は私が三年生の時に担当してくれた先生だ。
私がこの仕事に就いてからも、何度も励まして貰った。
｢今日はどうしたんだ？いつもに増してbadな気分か？｣
マイク先生は人の表情の機微に敏感で、直ぐに落ち込んでるとバレてしまった。
｢OK、OK 励ますのが仕事ってワケだ。だが、少し待っててもらっても＿｣
｢黙れ｣
ペラペラと喋り出すマイク先生を一蹴すると、かなり怒っているような相澤先生が重々しく口を開いた。
｢最後の任務ってどういうことだ｣
感じたことの無い圧力に、体が震えた。
『どうって、そのままの意味ですよ』
冷静を装う。
『今回の任務はヴィラン連合の機能停止。
正真正銘最後の任務です』
そう、今回の任務は機能停止。
決して壊滅ではない。
つまり、政府は今連合を壊滅できるだけの戦力を持っていないという事。
｢そんなの、Aは”ただの足止め”ってことかよ？！｣
マイク先生の声が一段と響いた。
『そういう事です』
｢そんなのおかしいだろ！俺が政府に異議を申し立てる！｣
｢やめろバカ｣
｢Why？！なんで止めるんだ消太！｣
｢俺らみたいにそこそこのヒーローの言うことを政府が聞くわけないだろう｣
｢なら、オールマイトに言ってもらえば！｣
『やめてください。マイク先生』
｢なんでっ……｣
言葉を続けようとするマイク先生を相澤先生が手で制した。
｢俺たちはプロヒーローで、お前の教師だ｣
｢困っている生徒のためなら全力で守るくらいの心意気はある｣
｢お前が助けを求めるなら、すぐに助けてやる｣
ポツリポツリと相澤先生の口から言葉が漏れる。
私を助けたらどうなるか、分からない訳では無いだろう。
それでも告げられる救いにどうしようもなく縋りたくなった。
でも……
『先生、私だってプロヒーローなんです。
表のヒーローがその輝きで人々に希望をあたうるなら、私は光が輝けるようにする』
『私は、先生方を輝かせたいと思ったあの日から、この道を選んだことに後悔をしていません』
これが私の答えだ。
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作者名：ぱん | 作成日時：2019年4月4日 10時
