32話・溺れてしまいそう ページ33
*Aside*
スタジアム内を巡っていると、前半が終わったことが伝わる。
最後見たときは、酷い状態だったけど、きっと大丈夫。
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、
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やっとの思いで着いたフィールドに向かう階段。
「貴方、ここで何してるの?」
『……!!』
見知らぬ美しい声。
貴方は誰……？
それより、何故私が見えるの？
『私が見えるんですか……?』
「……。あら、貴方も同じなのね。」
同じ……？
「これも運命かもね。また、私達は会う。その時また、お話しましょう。」
そのまま私の横を通り過ぎた。
私が状況を理解したときは遅かった。
彼女も、私と同じ……。
、
、
、
『あの、今どういう状況になってますか?』
唐突に野坂くんに、話し掛けてみる。
驚く顔が一回見てみたい。
野坂「……。」
『あの……。』
野坂「ちょっと。」
グイっと腕を掴まれて、歩きだす。
そして言われた事が……。
野坂「どれだけ心配したか分かる?」
いつもの野坂くんだ。
安心した……。
何だか……安心したら………っ、な、涙…が……。
『あ、会いたかったです………。』
野坂「っ……。」
私の頭を撫でた。
野坂「泣かないでよ。」
『な、何だか……安心しちゃって……。こんな守護神いませんよね……。ははっ。』
野坂「君は、何処まで僕の心を動かすんだ………。」
『え……？』
野坂「ううん、何でもないよ。」
優しく微笑む野坂くん。
ずっと会いたかった。
こんな数日だけで貴方の事が、こんなに思えるなんて……。
貴方に、溺れてしまいそう……。
野坂「僕は、戻るけど大丈夫?」
『はい…!頑張って下さいね!私が……貴方の勝利の女神となりますように。』
野坂「!」
涙で濡れた顔には、満面の笑みが浮かんでいた。
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作者名：千 | 作成日時：2019年4月30日 12時
