約束は今も〈２〉 (ページ9)

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三井｢だぁーーちくしょう全然入んねぇ！｣

どれくらい時間が経っただろう。お互い1点も入らないまま、ついに三井先輩が床に倒れ込んだ。無理もない、一日中練習していたのだから。流川くんだって限界が近いはずだ。

洗濯もそろそろ終わる頃だしそろそろ行こうと立ち上がった。

三井｢A、交代｣

『…はい？』

三井｢次オフェンスだから｣

『えっそんな急に言われても』

流川｢逃げた｣

三井｢うるせー！きりがねーから終わりにすんだよ！あとよろしくなA｣

三井先輩はそう言うとどこかへ行ってしまった。流川くんの方を見ると、もうすでに仁王立ちで私を待っている。

『やるの？』

流川｢もちろん｣

なんだかこの状況、前にもあった気がする。あの時は結局手も足も出なかった。

仕方なくボールを手にすると、ドリブルしながら近づいていく。そして、流川くんが私に向かって腰を落とし、手を広げた、その時だった。

─ﾄﾞｸﾝ

突然動悸がして目の前がぼやける。
体から力が抜けて膝から崩れ落ちた。

流川｢A…！？｣

視界がぐるぐる回りだして目を閉じると、何かが見えてくる。

手に持ったボールとバスケットゴール。

あのゴール、どこかで見た事がある。古くて、錆び付いた、そうだ、彰くんと会ったあの公園だ。

じゃあこれはあの時の記憶…？

目の前で手を広げている人物に目を凝らしてみる。

違う、彰くんじゃない。

小さな、小学生くらいの男の子。

知らないはずのその子の真剣な顔は、とても似ていた。

バスケをしている時の、

流川くんに。

流川｢A！｣

流川くんの声が届いて目を開けた。眉をひそめて、心配そうな顔をしている流川くんが見えたが、頭が混乱して言葉が出てこない。

まさか今のは私の記憶？

あれは小さい時の流川くん？

私は流川くんとバスケをしていたの？

疑問はたくさんあるのに何を聞いたらいいのか分からない。

流川｢どうした？どっか痛いのか？｣

『…ごめん、大丈夫。大丈夫だけど今日はもう終わりにしよう』

そう言って立ち上がると、出口の方に向かった。何も言わない私にきっと聞きたいことはたくさんあったはず。それでも私の様子を見て流川くんは、何も聞かずに部屋まで送ってくれた。

私の見たものは何だったのか。

もし本当にあれが忘れていた記憶なら、流川くんと私は一体…