約束は今も〈２〉 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:12,034 hit

57 ページ8

長いようで短かった合宿ももうすぐ終わり。残すは明日の午前練習のみ。

みんなの練習着の洗濯もこれで最後だ。
洗濯機を回してる間掃除でもしようかと体育館に向かうと、もう今日の練習は終わったはずなのに明かりがついていた。

『誰かいるんですか〜』

そっと扉を開けるとそこには、シュート練習をする三井先輩の姿が。その美しいフォームについ見とれて、その場に立ち止まる。

三井｢ん、A？何してんの｣

『あっ…』

こっそり見ていたのがバレてしまった。
三井先輩は不思議そうな顔をしたあと、あっとなにか思いついように口を開く。

三井｢時間あるならパス出してよ｣

『えっ、私がですか？』

三井｢誰でもできるから、ほら｣

三井先輩からボールを渡されると、私も体育館に入った。

私に向かって手を上げる三井先輩にパスを出す。受け取るとすぐにシュートモーションに入り、ボールが放たれた。

ボールを目で追うと吸い込まれるようにゴールに向かっていく。入る、そう確信した時。

─ｶﾞﾝｯ

『｢あっ！｣』

シュートは外れた、のではなくどこかから飛んできたもうひとつのボールとぶつかった。

三井｢…流川てめーどうゆーつもりだ！！｣

流川｢あ、つい｣

三井｢ついってなんだついって！｣

『流川くん！？』

そのボールの正体は流川くんが投げたものだった。

真剣に練習している時にこんなことをされたら怒るのも無理は無い。まあ流川くんは右から左で聞いていなさそうだけど。

流川｢A、練習付き合って｣

『え？』

三井｢あぁ！？Aは今俺とやってんだよ！｣

流川｢先輩シュート練でしょ？1人でできる｣

三井｢なんだと！？｣

『ちょっと待って！私何もできないし。だったら2人でやった方が』

流川｢……やだ｣

三井｢てめーこのっ！！｣

『あっ！だめです！手出したらだめ！』

補足しておくと、この2人は私の取り合いをしているのではない。意地の張り合いをしているのだ。

そんなことに私を巻き込まないで欲しいと思ったが、言ってもどうせ聞かないから諦めた。

これに関しては練習の邪魔をした流川くんが全面的に悪い。でも絶対に引かない流川くんに心が折れたのか呆れたのか、結局三井先輩と流川くんで1on1をする事になった。

先程まで言い争いをしていた2人も、いざ1on1が始まれば真剣そのもの。練習終わりとは思えない熱量に圧倒されてしまった。