約束は今も〈２〉 (ページ4)

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『あ、おぉ、なるほど、これが、ここに、、おぉ…！』

結局断ることができず、なぜかバスケ部にまじって私も赤木先輩の家にお邪魔している。

全くもって乗り気ではなかったが、今になって思う。
来てよかったと。

赤木先輩の指導により私は高校に入って初めて、数学が分かる、という感覚を覚えた。

『先輩、天才ですか…』

赤木｢1年の時は何かと回りくどくやるから分かりにくい。でも3年になれば大した事なかったと気づく｣

『なるほど』

晴子｢Aちゃんはもともと頭がいいもの。1度理解すれば追試なんて余裕だわ｣

赤木先輩の家ということは、妹である晴子ちゃんも当然いるわけで、今は隣で流川くんに教えている。

流川くんは半分寝ているような感じだけど、正面に座る晴子ちゃんはとても嬉しそうでその顔を見るとモヤモヤしてしまう自分がいた。

晴子｢じゃあ国語はここまでね、お疲れさま｣

英語だけは私が教えることになっていたから、晴子ちゃんとの勉強はここまで。

晴子ちゃんが流川くんから離れるとさっきまでのモヤモヤが晴れた。今度は私が流川くんの向かいに座る。

『次は私と英語だよ』

流川｢んー｣

眠たそうな瞼を持ち上げて、目が合うと心臓が跳ねた。

流川｢…A｣

『なに？』

名前を呼ばれるだけで嬉しい。

流川｢まさか赤点あるとは思わなかった｣

『その話はもうおわり』

話せるともっと嬉しい。

流川｢知らなかった、Aって意外とバ...｣

『もうそれ以上は言わないで！』

流川｢じょーだん｣

話す言葉ひとつひとつがこんなにも大切に思える。

前は気付かないふりをしていたけど、今なら分かる。
これが好きだということを。