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目を覚ますとさっきと同じ真っ白な天井が見える。


私帰ったはずじゃ…


どうしてまた保健室に?




「Aさん、起きた?」




『...はい』




カーテンの向こうから聞こえた声に返事をすると、先生が入ってきた。




「ここを出てすぐにまた戻ってきたから驚いたわ。帰すべきじゃなかったわね、ごめんなさい」



『いえ...あの時は大丈夫だと思ったんです』



「叔母さんと連絡がついて、迎えに来てくれるみたいだから」



『ありがとうございます』



「...だいぶうなされてたけど嫌な夢でも見た?」




『夢...』





もうずっと思い出せなかったあの時の記憶が、夢の中で鮮明に見えた。


どうして...何かきっかけがあったのか...



保健室を出て歩いてたら、騒がしい声が聞こえて、見に行ったら、




『あ...流川くん!あの、流川くんは...!』



「えっ流川くん?ちょっと待って」




飛び起きてそう言うと、私の形相に驚いた先生が慌てて出て行った。


少ししてカーテンが開くと、流川くんが顔を出した。頭には包帯が巻かれている。




流川「だいじょーぶ...?」



『大丈夫って、私じゃなくて流川くんでしょ?あんなに血だらけで...』



流川「血はけっこう出たけど、傷は大したことない」




あれだけの血が出ていたのに、なぜここまで平然としていられるのか。




『そもそも、どうしてこんなことに?』



流川「...色々あって、なんか知らんやつに殴られた」



『それってケンカじゃ...』




言いながら、流川くんは気まずそうに視線をそらしている。




流川「まぁ、Aには関係ないから、気にすんな」



『...え?』



私には関係ない?

気にするな?




『...気になるよ、目の前で突然倒れるし声掛けても動かないし私本当に心配したのに...』



『理由がケンカなんて、もうわけわかんない...』




不安と、怒りと、安心と、色んな感情が混じって溢れる。あんな夢を見たせいか。自分でもわけが分からなくなって、気づけば涙がこぼれていた。




流川「…!」




私が泣いていることに気づいた流川くんは、一瞬驚いたような表情をしたあとベットの脇まで近づいてきた。




『流川くん、もうこんなことはしないで、お願い...』




絞り出すようにように言うと、流川くんの手が伸びてきて、私の頬を伝う涙を優しく拭う。





流川「…もうしない、約束する」




今度は目を見て、そう応えた。

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設定タグ:スラムダンク , 流川楓   
作品ジャンル:恋愛
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星 たるふ(プロフ) - 早桃さん» そう言って頂けると本当に嬉しいです。ありがとうございます!なんとか最後まで頑張ってみようと思います…! (2023年2月12日 23時) (レス) id: 695404ddf3 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - めちゃ面白い!好きです!!これからも無理せず更新頑張って下さい!応援してますぅぅぅ!次の更新楽しみ! (2023年2月12日 12時) (レス) @page32 id: ac42bf1e6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星 たるふ | 作成日時:2023年1月1日 12時

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