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突然聞こえた声に驚いて叫んでしまった。
後ろを振り向くとそこにいるのは目が点になっている流川くん。
『る、流川くん…なんで』
流川「いや、下の名前何って」
どうやら先程考えていた事が全部口から出ていたらしい。名前を聞かれたから答えたら悲鳴が返ってくる、そりゃ目も点になるはずだ。
『そうだよね、ごめんなさい大きい声出して……でも流川くんどうしてここに?』
湘北の他の部員達はいないのに、流川くん1人でなぜこんな所に来たのか。疑問に思って聞いたが、その答えは返ってこなかった。
流川「あいつを、仙道を見に来たのか」
『?、うん、彰くんの妹に誘われて』
なんだか面白くなさそうな顔をする流川くん。
『どうしたの…?』
流川「別に、勝ちたかっただけ」
『…結果はたしかに負けだったけど、すごくいい試合だったよ』
流川「慰めとかいらねー」
『本当だよ!全然負けてない、かっこよかった!』
流川「…ふーん」
変わらず無表情ではあるけれど、何だか少し嬉しそうに見えた。
そういえば、初めて流川くんと話した。無口だと思っていたけれど、意外と話してくれている。
『…ふふ』
流川「……何」
『流川くんって意外と話しやすいなと思って。初めて話した感じがしない』
流川「そりゃあ初めてじゃねーからな」
『あっそっかぁ……って、え!?初めてじゃないの!?』
流川「……は?」
眉をひそめて私を見る流川くん。しまった、勢いに任せてとても失礼な事を言ったかもしれない。彼は私の友達だった可能性があるというのに。
『いや、あの、これは、その』
流川「もしかして、あの時のことおぼえてねーの?」
『それってたぶん、小学生の時だよね…?私その頃の記憶が曖昧で、その、流川くんの事もあんまり…』
流川「…はぁーー」
流川くんは深く息を吐いて俯いた。きっと気を悪くさせてしまった。
流川「ずっと他人みてーな態度だし、昔と呼び方も違うし、変だと思ってた」
『本当にごめんなさい…私ずっと気づかないで…』
申し訳なくて言葉に詰まっていると流川くんが頭を上げる。
流川「いい…そーゆーことなら、謝んな」
『……え?』
流川「じゃあ、また」
それだけ言って私に背を向け歩き出す。
そーゆーことならいい、それはどういう意味?
聞きたくて呼び止めた私の声に、流川くんが振り返ることは無かった。
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星 たるふ(プロフ) - 早桃さん» そう言って頂けると本当に嬉しいです。ありがとうございます!なんとか最後まで頑張ってみようと思います…! (2023年2月12日 23時) (レス) id: 695404ddf3 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - めちゃ面白い!好きです!!これからも無理せず更新頑張って下さい!応援してますぅぅぅ!次の更新楽しみ! (2023年2月12日 12時) (レス) @page32 id: ac42bf1e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星 たるふ | 作成日時:2023年1月1日 12時