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「何すんだァァァァ!てめーらァァァ!」
『局長ォ!大丈夫ですか!暗殺されそうになったと聞きましたけど!』
「今されそうになったよ!たった今!」
さすがは我らが局長。爆発程度でくたばらない不死身っぷりは健在だ。
近藤さんは、万事屋がいることにかなり戸惑っているようだった。
「お、お前ら、なんで俺達の肩を!?トシまで連れてきて……」
『土方さんからの依頼なんです』
「依頼……?」
「妖刀に魂食われちまった。今のコイツはヘタレたオタク、もう戻ってくることもあるめェ」
「妖刀だと!?そんな……そんな状態で……トシが、お前らに何を頼んだんだ」
「真選組、護ってくれってよ」
「面倒だからてめーでやれって、ここまで連れてきた次第さ。仕事のギャラは、てめーらに振り込んでもらうぜ」
「…………振り込むさ、俺の貯金全部。だが万事屋、俺もお前らに依頼がある。
トシ連れてこのまま逃げてくれ」
『え……』
「こんな事になったのは俺の責任だ。トシの助言を拒み、伊東の言うがままトシを処断した。
すまなかった……トシ。
すまなかった……みんな。
俺ァ……俺ァ……大馬鹿野郎だ」
近藤さんは、ぽつぽつりと懺悔のように思いを呟き、そして、私達の方を見て言った。
「全車両に告げてくれ、今すぐ戦線を離脱しろと。近藤勲は戦死した。これ以上仲間同士でやり合うのはたくさんだ」
近藤さんは、やっぱり立派な人だ。
綺麗事でも芝居でもなく、本心でそう思っているのだから。
土方さんは、無線を取り上げると、深く深呼吸をして言った。
「あーあー、ヤマトの諸君。
我らが局長、近藤勲は無事救出した。勝機は我等の手にあり。
局長の顔に泥を塗り、受けた恩を仇で返す不逞の輩。
あえて言おう、カスであると!!
今こそ奴らを月に代わってお仕置するんだ」
「おい誰だ?腑抜けた演説してる奴は」
「誰だと?
____真選組副長、土方十四郎ナリ!!」
無線を切り、土方さんは近藤さんと向かい合う。
「近藤氏、僕らは君に命を預ける。その代わり、君に課せられた義務がある。
それは死なねー事だ、何がなんでも生き残る。
君がいる限り真選組は終わらないからだ。
僕達はアンタに惚れて真選組に入ったからだ。
バカのくせに難しいこと考えてんじゃねーよ。
てめーはてめーらしく生きてりゃいいんだ。
俺達は何者からもそいつを守るだけだ。
近藤さん、あんたは真選組の魂だ。
俺達はそれを護る剣なんだよ」
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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時