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『こちら1番隊A。応答願います、どーぞ』
ダメ元で無線に呼びかけると、奇跡的に生きていた無線から、隊士の声が帰ってきた。
「土方は見つかったか?」
『いいえ、まだです』
「そうか。どんな手を使ってでも奴を見つけ、殺せ。近藤暗殺の前に不安要素は全て除く。近藤と土方、両者が消えれば残りは皆伊東派に恭順するはずだ」
次から次へと出てくる信じられない言葉に、思わず怒鳴りそうになるが、ぐっと堪え、続く隊士の言葉を待つ。
「近藤の方は成功したようなものだ。伊東さんの仕込んだ通り、隊士募集の遠征につき、既に列車の中。付き従う隊士は全て
隊士からの無線が切れると同時に、私は怒りのあまり無線機を叩きつけた。
『チッ』
「土方さんと近藤さんを暗殺……そんな、そんなことが……土方さん!」
「僕は知らない僕は知らない……」
「しっかりしてください土方さん!このままじゃ、貴方の大切な人が……大切なものが、全部無くなっちゃうかもしれないんですよ!」
「どうするネ?銀ちゃん、A」
神楽ちゃんからの問いかけに、旦那は黙って無線を全車両から本部に繋げ、無線を私に投げた。
「これで無線は、まだのんびりしくさってる税金泥棒共にも届くはずだ。ヤケになるのはまだ早いぜ」
旦那の言葉に、私は、さっきまでヤケになっていた頭をリセットさせ、無線と向かい合った。
「俺たちの真選組を、守ってくれ」
副長の言葉を思い出し、無線を固く握りしめる。
____そうだ、守るんだ。私たちの、真選組を。
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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時