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「すいまっせーーん!!命だけは、命だけは勘弁してください!草履の裏でもなんでも舐めますから!」
あの鬼の副長と呼ばれた土方さんが、地面に頭を擦り付け、命乞いをしている。
攘夷浪士達はポカンとしていたが、しばらくすると大きな声で笑いだした。
「なんたるザマだ!!鬼の副長と呼ばれた土方十四郎が!!ギャハハハハ!!」
「なんだか知らねぇがコイツはいいオモチャだ!草履の裏でもなんでも舐めてみろよ!」
『副長!』
土方さんを蹴り飛ばした攘夷浪士に向かって刀を突きつける。
攘夷浪士達は、標的を好戦的な私に切り替え、一斉に斬りかかった。
『副長!その刀手放して私の刀を使ってください!今ならまだ妖刀の呪いもなんとかなります!』
攘夷浪士達の攻撃をかわしながら土方さんにそう叫ぶ。が、土方さんは大丈夫だと言わんばかりに立ち上がる。
「この程度でテメェに守られるわけにゃいかねーよ!」
そう言って土方さんは刀に手をかけ____。
「あの、ほんとこのぐらいで勘弁してください。3000円あるんで。あ、Suicaは勘弁してください。帰れなくなるんで」
「びっくりさせんじゃねェェェェ!!」
「なんだコイツ、コロコロ変わりやがって!つーか大の大人が3000円ってどーいうことだァァァ!」
妖刀の呪いに侵食され、土方さんはまともに刀を振るうこともままならない。
このままでは私も土方さんも共倒れだ、そう思ったその時。
「おい」
聞き覚えのある声の男が、攘夷浪士達をあっという間に粛清していく。
「真選組隊士が、襲われてると思い駆けつけてみれば……こんなところで何をやっている、土方君」
「お、お前は……」
『……先生!』
「久しぶりだね。A君、怪我はないか?」
『は、はい!助けてくれて、ありがとうございました』
「なに、当然のことさ。年頃の女性の顔に、傷でもついたら困るだろう」
紳士のようなことを言うその男は、参謀として去年から真選組に加わった、伊東鴨太郎という男だった。
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作者名:おさくら | 作成日時:2020年5月7日 0時