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第8話 ページ10

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とある日の体育。


「侑くんかっこいいよー!」

「治くんスパイク決めちゃえー!」


バレー部の試合という訳でもないのに、体育館には女子たちの声援が飛び交っていた。


授業が一組と二組の合同で行われるため、授業内容によっては女子は授業そっちのけで、男子の応援に夢中になることがある。

しかも、今は授業内容がバレーときて、公式戦では絶対に見られない侑くんと治くんの対決が見られるということで、それぞれの応援も白熱していた。

その女子たちの陰に隠れるように、私も端に座りながら倫太郎くんを目で追いかける。

バレーをしている倫太郎くんはやっぱりかっこよくて、どんな瞬間も見逃してしまうのが惜しいくらい。



一セット目は一組が取り、ここで選手交代になった。

治くんはコートに残っているのに、倫太郎くん一人だけが抜けて、私の隣にどかっと座ってくる。



「倫太郎くん、次のセット出ないの?」

「出るわけないじゃん。放課後もバレーするのに、ここでもバレーとかやってらんないし」



確かに、と言いながら私は隣で笑った。

本当はもっと彼のバレーをしている姿を見ていたかったけど、一緒に観戦するのも悪くない。



「ていうかさ、」と倫太郎くんは続けた。



「A、俺のこと見すぎじゃない?」

「え、なん、え?」



私は目をパチパチさせながら、倫太郎くんを見る。

さっきまでコートの中にいたのにその疲れを微塵も見せない彼は、ジャージの胸元をパタパタと仰ぎながら、体の内側に冷たい空気を送り込んでいた。




「Aの方チラッと見たら、目合うんだもん。さすがに分かるよ」

「そ、んなこと、無いし……。治くんも見てたし……」




治くんのことなんて正直眼中に無いのに、悔しくて嘘をついてしまった。

それが嘘だと分かっているのか、倫太郎くんはゆったりとした笑顔を崩さずに答えた。





「俺のことをずっと見てるAが好きなのに」





その言葉に感じられる、今までとは少し違った重みにびっくりして、倫太郎くんの顔を見上げる。

彼は私のことなんか見ていなくて、試合の様子を楽しそうに眺めている。

その、少しウキウキした様子が伝わる表情も好きだな、なんて思っていると、ふいに倫太郎くんがこちらを見てくるものだから。



そこで、ぱちりと目が合ってしまった。







「ほら、やっぱり俺のことばっかり見てる」






してやったり、なんて笑顔でそう言われてしまえば、こちらは白旗を上げるしかない。

自分の熱さが体育の熱気なのか倫太郎くんからのものなか、答えが出ないまま、ただクラクラとしていた。






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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます! くろおくんですね! いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす! 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ!完結おめでとうございまーす!! (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吉田はるさめ | 作成日時:2023年12月18日 1時

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