拗れた二人を願う者 治side ページ25
治side
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清宮の「失恋した」という言葉を聞いたのは、この前の月曜日のこと。
角名が清宮を好きなのは前々から知っとったし、清宮の方も角名のそんな態度を嫌がっとる感じやなかったし。
これは付き合うのも時間の問題やな、と思っとった矢先、隣の席の清宮がそう言ったんやから、びっくりした。
まぁ、ハッキリと告白したわけでもそれを断れたわけでもないし、一応失恋ではないと励ましたけど。
角名でもない俺が「角名はお前が好きやで」なんていうのも違うし、そこまではさすがに言えんかった。
いつも通り登校して、元気の無い清宮の横顔を眺めとると、そいつはふと口を開いた。
「あのさぁ治くん。聞きたかったんだけど」
「なんや」
清宮からされる質問なんて、角名のことしか有り得ん。
どんな内容がくるか分からず、少し身構える。
「倫太郎くんって、部活で私のこと話してたりするの？」
「……なんで？」
そして、その質問にはイエスともノーとも答えることができず、思わず質問で返してしまう。
「いや、侑くんも治くんも、倫太郎くんのことなんか知ってる感じじゃん」
……昨日ツムが口を滑らせたのはデカいやらかしやったな、と目眩がした。
あんなん、角名が清宮を好きって言っとるようなもんやし。
「二人が何か知ってるってことは、部活で私の話とかしてるのかなーって思って」
『清宮の話をしとるかしとらんか』
あいつは、そんなレベルやない。
角名は部活の時間になると、清宮の話″しか″してこん。
この前も、「なんで俺は苗字呼びなのに、治も侑も名前呼びなんだ」と訳分からんことで怒られた。
他にも、こんな姿が可愛いとか今日はこんな所が好きだったとか。
ひとまず、目の前のこいつの質問に答えんといかん。
でも、マジでなんて言えばいいんかが分からん。
「いや、清宮のこと話しとるっていうか……」
そう考えながら言葉を口にしてしまうと、自分でも思ってしまうぐらいに、変に歯切れの悪い返事になった。
これは受け取られ方によってはまずいと思って清宮を見ると、そいつは体を起こしてこう言った。
「治くんって優しいよね」
あ、本当にまずいやつや。
そう思った時にはもう遅かった。
「倫太郎くんが私の話してないなら、別にしてないって言ってくれていいんだよ？」
「いや、別に、」
「ごめん、変なこと聞いた！ 今の無し！ 全部忘れて！」
そう言って、話は強制的に遮られた。
俺が何かを言いかけても聞く耳を持たん。
こんな風に拗れた二人がいつか結ばれることを、俺は心の底から願うことしかできんかった。
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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます！ くろおくんですね！ いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす！ 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ！完結おめでとうございまーす！！ (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！ 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年12月18日 1時
