第16話 ページ18
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「ランキング一位は、____座のあなた! 好きな人と結ばれるチャンスです! 頑張ってくださいね!」
とある日の朝、目の前に並ぶご飯を咀嚼していると、同じ時間を過ごしているとは思えないほどの、アナウンサーの溌剌とした声が耳に届く。
一位に自分の星座が呼ばれ少し嬉しくなったものの、その次の言葉で落胆する。
占いはそこまで信じていないタイプだけど、ここまで適当な内容は初めてな気がした。
学校への道を歩きながら、倫太郎くんのことを考える。
もう可愛いも好きも言わないと宣言していた倫太郎くんは、本当に私に何も言ってくれなくて、そんな日常がとても寂しい。
こんな日々を願っていたはずなのに、いざ来てしまうと寂しいなんて、私はとてもわがままだ。
ふんわりと巻いていた前髪も。
校則違反にならない程度の色つきリップも。
ぴかぴかに磨いていた爪も。
全部、全部。
倫太郎くんが可愛いって言ってくれるから頑張れてたのに。
そんな細かい変化に気付いてる面影はもう無くて。
ここで倫太郎くんのことはすっぱり諦めればいいのに、昨日、侑くんが言いかけた言葉がどうしても引っかかっていた。
そこで治くんがちょうど登校してきて、思い切って聞いてみることにした。
「あのさぁ治くん。聞きたかったんだけど」
「なんや」
「倫太郎くんって、部活で私のこと話してたりするの?」
「……なんで?」
少しびっくりした顔で私を見ている治くんを気にしないようにして、私は続けた。
「いや、侑くんも治くんも、倫太郎くんのことなんか知ってる感じじゃん」
治くんは何も喋らない。
口を真一文字に結んだままだ。
「二人が何か知ってるってことは、部活で私の話とかしてるのかなーって思って」
そこで改めて治くんの顔を見る。
彼は何ともバツの悪そうな顔をしていた。
「いや、清宮のこと話しとるっていうか……」
そこまで話して、口を閉ざす。
大きな瞳の黒目があっちに行ったりこっちに行ったり。
そこで何となく、倫太郎くんの部活での会話に私は一ミリも登場するしてないんだろうなというのを察する。
どう言おうか迷っている治くんを見かねて、私は口を開く。
「治くんって優しいよね」
そして、勢いよく体を起き上がらせた。
「倫太郎くんが私の話してないなら、別にしてないって言ってくれていいんだよ?」
「いや、別に、」
「ごめん、変なこと聞いた! 今の無し! 全部忘れて!」
彼は何かを言いかけていたけど、これ以上惨めな思いをしたくなくて。
そこで強制的に話を切ってしまった。
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます! くろおくんですね! いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす! 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ!完結おめでとうございまーす!! (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉田はるさめ | 作成日時:2023年12月18日 1時