第15話 ページ17
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倫太郎くんに何も言われなくなった日常は、あまりにもつまらなくて。
彼によってキラキラしていた世界に慣れていた私は、まだこの通常の景色を見慣れることができないみたいだ。
教室にいても倫太郎くんが目に入って居心地が悪くて、自販機に行って飲み物でも買いに行こうと立ち上がる。
この前侑くんから一口貰った炭酸ジュースでも買おうかな。
あ、その時に倫太郎くんと関節キスしたんだっけ。
目に少しだけ溜まる涙を気にしないようにしながら、自販機に向かうと先客がいた。
「清宮やん。こんなとこで会うなんて珍しいな」
「ん……？ ほんまや清宮さんやん！ 飲み物買いにきたん？」
治くんの声を聞いて、侑くんも振り向く。
双子が揃って喧嘩してないなんて、それこそ珍しいなと思いながら二人に近づいていく。
「うん。侑くんから一口貰ったジュース、まだ買えてなかったから」
「あー、あれ美味かったもんなぁ！」
私が小銭を入れる姿を見ながら、侑くんは笑っていた。
治くんはまだどれを買おうか、決めかねているようだ。
「ていうか、清宮さん元気あらへんやん。どうしたん？」
「あー、別に大したことないんだけどさ」
治くんは片割れのその言葉を聞き、チラリとこちらを見た。
私は侑くんの言葉に さほど動じず、落ちてきたペットボトルを拾って、治くんの時と全く同じ言葉を繰り返す。
「……失恋しちゃった」
「はぁ！？ 清宮さん好きな人おったん？ え、誰！？」
「おいサム、いい加減にしろや」
私に気を使ってくれているのであろう治くんが、侑くんを抑えようとする。
別にここまで来てしまえば誰にどう思われても構わないので、彼にも失恋相手を教えることにした。
「……倫太郎くん」
「……え？ は、角名？」
「うん」
治くん同様、侑くんは目を丸くして驚いていた。
「え？ 清宮さんが角名に失恋したん？ 角名が清宮さんにじゃなくて？」
「そうだけど……」
余程びっくりしたのか、彼は日本語すら少し怪しくなっている。
「いや、ありえんやろ！ 角名って本当は、」
「ツム、もう黙れ」
侑くんが何かを言いかけた時、後ろから治くんが彼の口を手で押さえつけた。
侑くんの声は完全にくぐもってしまい、聞きたかった言葉が遮られる。
「清宮すまん、俺らもう行くわ」
「え、あ、うん」
暴れて手を動かしている侑くんと、それを力ずくで押さえている治くんの後ろ姿を、私は眺めることしかできなかった。
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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます！ くろおくんですね！ いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす！ 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ！完結おめでとうございまーす！！ (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！ 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年12月18日 1時
