第14話 ページ16
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「月曜日の朝からそんなテンションで、金曜日はゾンビにでもなるつもりか」
「治くんうるさい……」
倫太郎くんが教室から出ていった後、そのまま力なく机に突っ伏していた私。
クラスメイトの足音や扉を開ける音が続々と聞こえてきて、もう皆が登校し始める時間なんだな、と頭の片隅で考えていた。
こんな状態の私に、今日初めて声をかけてきたのは隣の席の治くんで。
「どしたん、そんな突っ伏して」
私が元気ないのを察して話を聞こうとしてくれてるのだから、彼は十分優しい人だと思う。
嘘をつく気にもなれず、黙っているのも苦しくて、この際全部ぶちまけようという気持ちで口を開いた。
「……失恋した」
「誰に」
「倫太郎くん」
「は?」
内容の割には淡々と進ませてしまった会話が少しおかしくて、とりあえず体を起き上がらせた。
今日初めて治くんの方を見れば、びっくりした顔でこちらを見ている。
「清宮って角名のこと好きやったん?」
「まぁねー……。失恋したしもう関係ないけど」
気にしないようにして笑ってみたものの、思ったよりも乾いた笑いになってしまい、それが逆に自分の本音を表しているようだった。
「告白でもしたん?」
「いや? もう可愛いとか好きとか言わないって言われて、最後の最後に清宮さんって呼ばれた」
ちょっと喋り過ぎたかな、と思うぐらいに話してみても、隣から聞こえてきた返事は「ほーん」のみで。
興味があるのか無いのか、治くんはどっちなんだ。
しばらくすると、彼はゆっくりと口を開いた。
「それは失恋やないやろ」
「なんで? どう考えてもあなたのことは好きじゃないって言われてるじゃん」
「今まで散々角名から好きって言われとったんに、それを流し続けたのはお前やろ」
ぐうの音もでないド正論に頭を抱えたくなる。
いや、そうなんだけど。
確かにそうなんだけど。
「倫太郎くんの言う好きと、私の思う好きって違うのかなぁって……」
「それは角名に聞かんと分からんやん。はなから決めつけるのは良くないで」
やはりこの返しにも何も言い返すことができない。
「……今日の治くん、バレー部のキャプテン並の正論パンチだね。北さんだっけ?」
「アホか」
少し茶化してみると、持っていたノートで頭を軽く叩かれる。
まぁでも、倫太郎くんの気持ちを勝手に決めつけようとしていたのは、確かに私の方で。
「倫太郎くんの本音かぁ……」
そんなもの、聞けるなら私が聞きたい。
小さな声で呟いた言葉は、隣の彼にすら届かなかった。
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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます! くろおくんですね! いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす! 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ!完結おめでとうございまーす!! (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉田はるさめ | 作成日時:2023年12月18日 1時