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第9話 ページ11

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放課後に時間が空いていた私は、倫太郎くんの部活姿を覗いてみることにした。

体育の授業だけでは全然足りなくて、おかわりしたくなったのだ。

あの特徴的な猫背を探し、やっぱりバレーをしている姿はかっこいいなと自然と口角が上がる。


「倫太郎くん、かぁ……」


彼の名前をふわりと声に出す。

名前呼びがそんなに嬉しいのかは分からないけど、確かに私が倫太郎くんから「清宮さん」なんて呼ばれたら、距離を感じて仕方ない。


もしかしたら本当に倫太郎くんも私のことを、なんて自分の都合のいい思い込みが頭をかすめた。

そんな間に部員は休憩時間に入ったようで。

いい加減に私も帰らないといけない時間で、ギャラリーから降りて体育館を後にする。


すぐ近くの水道場を通ったタイミングで、聞きなれた声が私の名前を呼んだ。




「え、A来てたの」


「倫太郎くん!!」




その声の主は倫太郎くんで、さっきまで練習していた彼は額に汗をかいていた。

制服ともユニフォームとも違った魅力を感じさせる部活姿は、少し特別な気がしてならない。




「いつも見にきてたっけ?」

「体育の時、倫太郎くんが放課後もバレーするのにって言ってるから見にきちゃった。ちゃんと真面目にやってるかなーって」

「サボっても北さんにはすぐにバレるし、一応真面目にやってるよ」

「うん、ほんとにその姿が、」



かっこよかったよ、と言いかけて口を噤む。

倫太郎くんから散々可愛いと言われてきた私だったけど、よく考えれば私が彼にかっこいいと言ったことは一度もない。


彼には「彼氏の特権だから辞めて」なんて言っておいて、彼女でもない女子からかっこいいと言われても倫太郎くんは迷惑だろうなと、言うのを辞めた。



「姿が、何?」



でも、そこに突っかかってくるのが角名倫太郎だ。

Tシャツの襟元を掴みながら、額の汗を拭いている。

その姿が心臓に悪くて、目を塞いでしまいたいぐらい。



「え、あ」

「何?」



一度飲み込んだ喉まで出た言葉を、また口に出そうとするのは至難の業で。

でも、言わないと解放してくれないのが彼の雰囲気から伝わるし、ここは腹を括るしかない。



「かっこいいなって、思い、ました……」

「ふーん」



何なの、その反応は。

こちらがせっかく勇気を出して本音を伝えても、結局冷たい反応しかもらえない。


もういいやとその場を離れようとすると、彼が静かに私のことを呼んだ。



「そんなこと言ってくれるAが一番可愛いよ」

「……倫太郎くんのバカ!!」



今の私にできる精一杯の抵抗も、倫太郎くんには笑って躱された。






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吉田はるさめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» コメントありがとうございます! くろおくんですね! いつかまた書きたいと思っているので、気長にお待ちいただけたら嬉しいです☺️ (3月14日 13時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 最高これからもいろんな作品を作ってください黒尾くんもできればよろしくお願いします (3月13日 18時) (レス) @page28 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 湯棚さん» コメントありがとうございまーす! 最後までお付き合いいただき、感謝感謝です✨ (12月30日 7時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
湯棚 - キュンキュンが止まらないっ!完結おめでとうございまーす!! (12月29日 21時) (レス) @page26 id: ec9d942a77 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 天さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 「キュン」を届けられていたのならこちらも嬉しいです☺️ (12月29日 10時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吉田はるさめ | 作成日時:2023年12月18日 1時

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