9コール目 ページ10
.
新しい席は後ろから二番目、左から三番目という微妙な位置で。
場所だけで考えれば前回よりは良いと思うけど、北さんが来てくれたことが嬉しかった自分にとっては、あまり関係の無いことだった。
予想通り、北さんが教室に来る頻度はガクッと落ちてしまい、あの席の有難さを思い知る。
そして、隣の席には侑くんが来てしまった。
私の動向を北さんに話す可能性があると思うと、少なくともこの期間だけは変なことはできないなと、少し気張る日々を過ごしていた。
「なぁ」
「なに?」
侑くんが私に話しかけてきたのは、席替えをしてしばらく、この席にも少しずつ慣れてきた時のことだった。
「綾瀬さん、北さんと付き合うとる?」
「ばっ……!」
いきなり話しかけてきたかと思えばこの金髪は何を言っているんだ、と口をぱくぱくさせる。
「そんな、私が北さんと付き合ってるわけなくない!?」
もちろん、将来的にそうなれば嬉しいけど。
私の焦りは気にしないといった様子で、侑くんは更に続けた。
「前の席の時、めっちゃ喋っとったやん。あれでカップルやないは無しやろ」
「そんなこと言われても……。断じて、私と北さんは付き合ってないから!!」
力強く否定したタイミングで、久しぶりに聞いた声が鼓膜を震わせた。
「そんなに否定して、つまり俺は脈ナシなんやな?」
「「あ」」
二人の声が重なる。
バッと顔を上げれば、表情からは感情を読み取らせてくれない北さん。
「侑、これ来月の部の予定表。二年全員に配っといて」
「あ、ありがとうございます……」
ここに来るのは珍しいなと思っていると、今回は侑くんに用があったみたいで。
「なんや珍しく侑と仲良うしとると思えばな」
「いや、これは違くて!」
北さんは「何が違うんだ」といった顔で、私を覗き込んでいる。
「何というか、変な噂が流れるのは良くないと思うんですよ。違うことは違うって言わないとダメっていうか」
「Aちゃんは、俺と付き合うとるって噂が流れたら嫌なん?」
「え?」
おかしなことは言わないように言葉を慎重に選びながらそう言ったものの、北さんからの言葉で固まった。
「俺はAちゃんとやったら嬉しいけどなぁ」
「はい?」
そんな台詞を最後に、北さんは教室を出ていく。
完全に言い逃げだ。
「完璧脈アリやん。綾瀬さん、北さんと付き合うたらまた教えてな」
「侑くん面白がってない?」
.
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
297人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです!! (12月31日 15時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした! (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ! ありがとうございます!! (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです! (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:吉田はるさめ | 作成日時:2023年11月6日 0時