6コール目 ページ7
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「Aちゃん、待っとってくれてありがとな」
「いえ、全然！ こちらこそ、練習見させてもらってありがとうございました！」
部活が終わり、辺りはすっかり暗くなった時間。
玄関で北さんを待っていれば、きちんと会うことができて少しほっとする。
「カイロの裏、ちゃんと見てくれたんやなぁ」
「あれ、本当にびっくりしたんですからね！？ 一回カイロ投げちゃいましたもん！」
なんやそれ、と北さんは楽しそうに笑う。
私の気持ちを知ってか知らずか。
普段から周りの人にこんな対応をしているのなら、こんなに人たらしな人はいないだろうなと思う。
侑くんが北さんを慕っているように感じたのも、きっと普段からこのような接し方をされているからなんだろう。
「部活、どうやった？」
「楽しかったです！ 正直、バレー部の練習を見たのは初めてで、試合も行ったことがなかったので……。こんなにもレベルが高いんだなってびっくりしました！」
「楽しかったんなら、それは良かったわ」
「キャプテンとしての北さんがかっこよかったです」とはさすがに言えず、その言葉は飲み込む。
部活風景の感想を色々話す度、北さんはうんうんと頷きながら私の話に耳を傾けてくれていた。
そんな時。
「あんま言いたないのかもしらんけど」
「なんですか？」
「……なんで、泣いとったん？」
北さんからの質問に、歩いていた足をぴたりと止める。
あの一瞬で、それも私は二階にいたのに、気が付かれていたことに純粋に驚いた。
「いや、そんな大したことでもないんですけど……。私、大きい音とか苦手で」
「そうやったんか」
「スパイクの音とかでも圧倒されてたんですけど、その勢いのままボールが目の前に来たからびっくりし過ぎちゃって……」
嘘をつく必要も無いかなと思い、素直にそう話す。
北さんは寂しそうに眉毛を八の字にして、無意識にまた足を動かした。
「すまんかった。Aちゃんが苦手とか知らんくて」
「え、いや、北さんが謝ることないですよ！？ 真ん前にボールが飛んできた私に運が無かっただけというか、そもそも苦手なのに見にきた私が悪いというか」
「でも、女の子泣かせるのはあかんやろ」
私はもう気にしていないのに、北さんは変わらず少し悲しそうで。
本心が上手く伝わっていない状況にもどかしさを感じつつも、それを感じさせないもように笑って、北さんと会話をしながら家路を辿った。
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
