4コール目 ページ5
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「んー、やっぱり頭痛いなぁ」
低気圧のせいか、今日は頭痛が酷かった。
薬はさっき飲んだけど、効き始めるまでには時間を要しているようで、やるせない気持ちになる。
そんな体が疲弊しきっている時に限って、あの人はやってきた。
「どうしたん、体調悪そうやな」
……分かるの？ この一瞬で？
今日会うのは今が初めてなのに？
「まぁちょっと、頭が痛くて……」
えへへと誤魔化すように笑った私。
北さんは少し考える仕草をした。
「ほうなんか。今日は体冷やさんようにせぇや。こんなんしか持っとらんけど」
そう言いながら、北さんがブレザーのポケットから取り出したのは、使いかけのカイロだった。
今の今までそこで眠っていたであろうそれは、とても温かそうだ。
でも、さすがに温まりきったカイロを易々と貰うほど、私は図々しくない。
「こんなの受け取れないですよ！ 北さんが寒いですよね！？」
そもそも風邪というわけでもないから尚更申し訳ない。
「別に俺は寒ないし。体調崩しとるやつ、このままほっとけんしな」
「要らんの？」と付け足されては、私には″受け取る″以外の選択肢が残されていない。
「有難く、頂戴します……」
そう言ってカイロを受け取ろうとした瞬間、北さんは「あ、待って」と呟き、私に渡すのを辞める。
筆箱の中からペンを取り出し、持っていたノートを器用に机がわりにして、カイロに何か書いていた。
「何してるんですか？」
「ん？ おまじないみたいなもんや」
いたずらっ子みたいに笑う北さんの顔が、相変わらず心臓に悪くて自分の机に目線を移す。
「ほい、できたで」
そう言いながら差し出された北さんのカイロには『北の特製カイロ』の文字が。
その可愛いワードセンスに頬が緩む。
「ありがとうございます……！」
ただの使い捨てカイロが、一生捨てられないぐらいの家宝になった幸せを噛み締めた。
「じゃあ、今日も頑張りや」
「北さんも頑張ってくださいね！」
「おん」
そうやって去っていく北さんの後ろ姿を見送った。
心までほくほくしてきた私は、何の気なしにカイロを裏返す。
そこには。
『今日部活終わった後、会えん？』
「へぇ！？」
びっくりして、思わず手に持っていたカイロを机に強く叩きつける。
「これはずるすぎっ……」
私の顔がこんなにも熱いのは、絶対にカイロのせいではない。
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
