名前呼びの勇気�� ページ31
.
名前呼びとキスを天秤にかけて、私がキスを選んだ理由。
キスだったら、名前呼びとは違って私だけが恥ずかしい思いをすることは無いからフェアだな、なんてムードの欠けらも考えだった。
でも、北さんは違っていて。
「Aちゃんって、結構積極的なんやなぁ」
「や、ちが、……！！」
ニヤリと笑った北さんの表情が、一瞬だけ見えたような気がした。
否定しようとしていた唇は、彼の唇が重なったことによって閉ざされた。
それはほんの一瞬の出来事で、すぐに離れていく北さんの顔。
呆気に取られぽかんとしている私の横で、″幸せ″という気持ちだけを詰め込んだ表情で、私を見つめる北さんを見やる。
……キスも、フェアでは無いことを思い知った。
「そんな、いきなりはダメじゃないですか！？」
「ん？ チューがいいって言うたやん」
「いや、言いましたけど！」
「そんな顔で怒られても、可愛ええって言葉しか出てこんなぁ」
動揺した気持ちのまま、北さんを責め立てる。
こんなに文句を言っている私ではあるけど、顔の熱は冷めてくれなくて、でも心はぽかぽかしていて幸せで。
あぁ、この人と付き合えて良かったなと幸福感に浸る。
何となくだけど今なら言えるような気がして、彼がずっと求めていたものを与えたくなった。
「信介くんは、そういう所がズルいよね……！」
本当は呼び捨てにしようと思っていたのに、なぜかくん付けになってしまった。
そして、そうするつもりは無かったのになぜかタメ口。
少し後悔は残ってしまったけど、口にしてみれば案外すんなりいけたものだな、と得意げになりながら信介くんを見る。
でも、今度は彼の方がぽかんとした顔でこちらを見ていた。
「信介くん……？」
もう一度名前を呼びかけると、我に返った信介くんが人差し指と親指で私の顎をクイッと掴んだ。
熱を持った視線が、私を捉えて離さない。
「今のタイミングは、Aちゃんもズルいやろ」
「なっ……！」
もう一度降り注いだ信介くんの柔らかい唇。
くっついては離れることを繰り返すそれは、貪るように、私の唇の形を味わうように、じっくりと、何度も何度も続いていく。
『キツネってさ、狙った獲物は逃さないらしいよ！ 可愛い顔して肉食だよね〜！』
そんな、嘘か本当かも分からない情報を教えてくれた友達は、誰だったっけな。
.
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 297人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
