3コール目 ページ4
.
私が北さんを意識するようになったからか。
それとも、私がこの席になったからか。
いや、そもそも元からだったのか。
毎日、というのはさすがに大袈裟だけど、北さんはこの教室に来る頻度が割と高いことを知った。
そして、その度に私によく雑談をふっかけてくる。
″次の時間、それやるんや。懐かしいなぁ″
″その教科の先生誰なん？ あー、その先生宿題めっちゃ多いやろ？″
廊下から私の席をひょいと覗いては、少し話しながら北さんと笑いあった。
侑くんに用がある時もあれば無い時もあって、移動教室でよく通るのかな、とか呑気に考えていた。
理由がどうであれ、私にとってはラッキーなことで、北さんと会話できることがとても幸せで嬉しかった。
「あれ、自分、綾瀬Aっていうん？」
ふと、机の上に置いてあるノートに書かれた名前をチラリと見て、北さんはそう言った。
そして、そのタイミングになってようやく、今までお互いに名乗っていなかったことに気がつく。
「あ、そういえば名前言ってなかったですね！えっと、綾瀬Aっていいます」
「じゃあAちゃんやな。覚えたわ」
「え、えぇ……」
急に下の名前で呼ばれるものだから、恐れおののいてしまう。
「あ、俺は北信介いうんやけど」
「実は北って名字だけは知ってました……。侑くんからチラッと聞いて」
「ほーん、侑から？」
隠す必要も無いだろうと、素直に前から知っていたことを口にすれば、北さんを眉をしかめた。
そんなに、名前を先に知られていたことが嫌だったのだろうか。
でも、確かに知らないところで勝手に自分の情報が漏れていたら、気持ち悪いよなと納得する。
「すみません、勝手に北さんのこと探るようなことして……」
「いや、別に、それはええけど……」
北さんは右手に顎を置いて、うーんと考える。
「まぁええわ。じゃあまたな、Aちゃん」
「あ、はい！」
北さんが色々話しかけてくれるおかげで、最悪だったこの席がすごく楽しい。
「Aちゃんかぁ……」
特別キラキラしているわけでもない私の名前が、熱を持ったような気がする。
北さんって本当にすごい。
彼が名前を呼ぶだけで、こんなにも私を嬉しくさせるのだから、まるで魔法使いか何かではないかと疑ってしまう。
北さんが目に入れたであろうノートに書かれた自分の名前を指でなぞり、私は一人で微笑んでいた。
.
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 297人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
