勇気の裏側 北side ページ29
北side
.
「北さんって、綾瀬さんとどういう関係なんですか？」
「綾瀬……？」
放課後、部活時間前の部室。
制服からジャージに着替えとるタイミングで、後輩の侑が俺にそんなことを聞いてきた。
「綾瀬」と聞いたこともない名前に首を傾げる。
侑はそんな俺の様子を気にも留めない雰囲気で、話し続けた。
「ほら、俺と同じクラスの女子ですよ。北さんよく話しかけとるじゃないですか！」
そこで初めて、誰のことか分かる。
侑と同じクラスの女の子。
何となく目で追っかけて、気がついた時には好きになっとった彼女の名前を、俺はまだ知らんかった。
そして、侑がその子の名前を知っとることが、同じクラスやし当たり前やと分かっとっても少し悔しい。
「……別に、ただの知り合いみたいなもんやけど」
「そうなんですか？ この前北さんが俺のクラス来た時、綾瀬さん、北さんの名前とか聞きにきたんですよ。あの人誰？って」
着替え終わって、ロッカーの扉をパタリと閉めたタイミングで侑がそう零す。
「北さんの名前知らん割には、親しげに話しとるから、どんな関係なんやろう？って気になっとったんですよね」
「あの子、侑に俺の話したん？」
「してましたよ！ まぁ、ほんとに話した内容はそれぐらいでしたけど」
俺にも少しは関心があるということやろうか。
その事実は少し嬉しい。
「ていうか、北さんちょくちょく俺のクラスに来とるんに、全然認識してなくて！ めっちゃオモロいですよね〜！」
「……知らん学年の男なんて、わざわざ確認せんやろ普通は」
「そんなもんですかね？」
喜んだのもつかの間、次の侑からの言葉には少し寂しさを覚え、もう少し自発的に何かアクションを起こす必要があるなと考える。
俺の知らん所で侑と会話をしとるあの子のことを考えるととてもモヤモヤした。
これが嫉妬なんやろうな、と冷静に思うけど、そんな感情を抱いた自分には嫌気がさす。
明日、机の上にノートとかプリントでも出してあったら、それをチラリと見て何となく名前を聞いてみるのもええかもしれんな。
そして、もしも名前が分かったその時は。
侑みたいに「綾瀬さん」なんて他人行儀な呼び方は絶対せん。
そうやな、「ちゃん付け」とかやったら絶対に可愛くて似合うやろうな。あの子自体が可愛ええし。
口元が何となく緩んでいるのを感じながら、あの子のことを想像して、体育館に向かった。
Fin.
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
