21コール目 ページ22
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『Aちゃんやっとったやん。やから俺もしてみてん、ワンコールで切るやつ』
「いや、どういうことですか……？」
確かに、私が初めて北さんに電話をかけた時は、意図的にすぐに切ったし、今北さんからかかってきた電話もすぐに切れてしまったけど。
それとこれがどう関係あるのかさっぱり分からなくて、頭の中ではクエスチョンマークが浮かんでは消えていく。
『電話かけよう思った時に、どうせならすぐに切ったろうって思ってん。あん時はAちゃんにドキドキさせられて、えらい悔しかったからなぁ』
『Aちゃん、ドキドキしたやろ？』と聞かれ、否定の言葉がすぐに出てこず、口をぱくぱくさせるだけの自分がいるのが悔しい。
北さんからの電話で確かに私はテンパった。
スマホを落としてしまうぐらいだったし、傍から見みたら動揺している様子がまざまざと伝わると思う。
「まさか、北さんそれ狙って！？」
『可愛ええ子には意地悪しとうなるもんや』
してやられた！と更に悔しい気持ちが大きくなった。
口車に乗せられてかけただけのワンコールを、まさか北さんにやり返されるとは思っていなかった。
「で、でも！ それで私がかけ直さなかったからどうしたんですか！？」
『Aちゃんならかけてくれると思っとったよ。実際、こんなにすぐ出てきたんやから』
「いや、そうですけど……」
ぐうの音も出ず、そのまま私は口を閉ざした。
だって北さんに電話をかけられてそのまま出ないなんて、私だったらまずありえない。
北さんが私のことを楽しそうにからかっているのがよく伝わる。
この人の方が何枚も上手で、手のひらの上で転がされているような感覚で。
あの時は付き合う前だったから私の方だって緊張したのに、なんで私だけ二回もドキドキしないといけないのか不公平で堪らない。
『まぁ、聞いてやAちゃん』
「……なんですか」
私が少し拗ねているのを感じ取ったのか、北さんの声色が少し優しくなる。
柔らかくなったスマホの向こうからの声に、私は渋々耳を傾けた。
『やってみて分かったけど、これ電話かける方も心が落ち着かんのやな』
ぽつり、北さんが話し出す。
『ワンコールで切ったはいいけど、Aちゃんが電話に出んかった時のことも頭によぎるし』
北さんの気持ちは痛いほどよく分かる。
それは間違いなく、私も北さんと同じことをしたからだと思った。
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
