18コール目 ページ19
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放課後は一緒に帰る約束をしていたから、自習室で勉強をしながら時間を潰して、玄関に向かう。
外に出れば今にも雨が降りそうな天気で、こんな日に一人で帰らずにいられることがとても嬉しい。
重たいぐらいの灰色の雲が、どこまでも広がっていた。
「Aちゃんいつも待っとってくれてありがとう。体育館におっても良かったんに」
「いえ、北さんの邪魔するわけにもいかないですし」
「そんな、彼女に邪魔なんて思わんよ」
隣を歩く北さんの笑顔がこんなにも愛おしくて、色々悶々と考えていたものの、やっぱり自分は幸せ者なんだなとしみじみ思う。
「傘持ってきてないからな、はよ帰らんなん」
「ほんとですよね！ 朝はこんな空じゃなかったのに……」
雨に濡れずに帰りたい気持ちと、北さんとできるだけ長くいたい気持ちがせめぎ合っている。
そんな私の心は、一瞬にして「早く帰りたい」に振り切れることになる。
「わっ……！」
「おぉ、近いな」
雷が鳴ったのだ。
空が明るくなったのも束の間、何かを考える間も無く、空には雷鳴が轟いた。
さすがの北さんも、少し肩を震わせて驚いていたようで。
「こりゃもうすぐ降るなぁ。Aちゃん、大丈夫か？」
「あ、え、はい！ 大丈夫です……！」
大丈夫なんて本当は強がりに近かった。
できれば今すぐ走り出して家に向かうか、近くの建物に入って天気が良くなるのを待ちたい。
だって、私は……。
刹那。
ふわりと頭の上に温かい布が被せられ、視界に写った葡萄茶色のそれは、北さんの香りがした。
「すまん、俺のジャージで我慢してくれ」
「え……？」
頭巾のようにバレー部のジャージを被せられた私は、きょとんとした顔で北さんを見つめる。
「大きい音、苦手なんやろ。雷の音なんて絶対に怖いやろうけど、どうしたらええか分からんくて……。そんなんで大丈夫か？」
「覚えてて、くれてたんですか……？」
ジャージの裾を両手でキュッと握る。
そっか、北さんは少しでも雷の音が聞こえなくなるように私に被せてくれたのか。
「覚えとるやろ。Aちゃんが言ったことは、ちゃーんと覚えとるよ」
ジャージ越しに頭を撫でられる。
その手の温もりにとで安心させられる。
雷への恐怖心が、少し和らいだ気がした。
「よし、じゃあダッシュで帰るか」
「待ってください、私絶対についていけないです……！」
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです！！ (12月31日 15時) (
レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした！ (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ！ ありがとうございます！！ (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです！ (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田はるさめ | 作成日時：2023年11月6日 0時
