13コール目 ページ14
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「で、出るの……?」
電話をかけるだけかけておいて、いざ折り返されると躊躇してしまう私は、おずおずと香帆の顔色を伺った。
「当たり前でしょ。大丈夫、私リビング行ってるから」
私に気を使って、香帆は部屋から出ていってしまった。
大丈夫、と言われても何が大丈夫なのか、私にはさっぱり分からない。
その間も着信音は鳴り止まず、出る選択肢しか残されていない私は、とりあえず通話のボタンを押す。
「も、しもし」
『もしもしAちゃん? 急に電話かかってきたから何かと思って。急ぎやった?』
「や、その。すみません、合宿中なのに」
電話の向こうから北さんの声が聞こえ、不覚にも胸が高鳴った。
声が震えているのが自分でも分かり、電話越しの北さんは相当聞きづらいかもしれないなと、少し気合いを入れ直す。
『ええよ、そんなの気にせんで。まだ寝る気配も無かったしなぁ。それで、どうしたん?』
寝る気配が無いというのも、絶対に北さんの気遣いだろう。
疲れているに違いないこんな時間にも優しいこの人に、少し泣きそうになった。
「その、用件っていうか……」
ここまで来てしまえば、嘘をついたところですぐにボロが出そうなので、正直に全て話すことにした。
想いを伝えると決めたのは、自分だから。
「今日、友達と泊まりって言ったじゃないですか。それで、友達と好きな人に電話をかけようって話になって」
……北さんからの返事はない。
相槌も特に無く、うんともすんとも聞こえなかった。
それが余計に恥ずかしさを掻き立てる。
「ワンコールだけ掛けて、相手がいつ折り返してくるかを楽しむ遊び?みたいな感じで」
電話越しで相手の表情が見えず、北さんが何を考えているのか分からない状況が、とても怖かった。
たどたどしいこんな説明で、北さんは分かってくれるだろうか。
「つまり、だから、用件という用件は特に、無くて……。すみません……」
こんな最低な電話があるか、と一通り説明した後に思った。
やばい、嫌われたかもしれない。
こんな時間に、彼女でもない女の子から電話がかかってきて、わざわざ出たと思えば内容も酷い。
幼馴染とかマネージャーとかならまだしも、相手は学校で時々喋るぐらいの下級生だ。
最悪だ。後悔先に立たずとは、まさにこのこと。
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吉田はるさめ(プロフ) - 脱兎@さきさん» コメントありがとうございます🥰 めちゃくちゃ嬉しいです!! (12月31日 15時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - 一生顔がニヤついてました。控えめに言って神作でした! (12月31日 11時) (レス) @page33 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - ゆずまる。さん» わぁぁ! ありがとうございます!! (12月15日 19時) (レス) @page28 id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる。 - 一言。尊とすぎんだろ (12月15日 18時) (レス) @page7 id: d52276dd20 (このIDを非表示/違反報告)
吉田はるさめ(プロフ) - 爽さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ そう言ってもらえて、本当に嬉しいです! (11月19日 22時) (レス) id: 545b1ba1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉田はるさめ | 作成日時:2023年11月6日 0時