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入社して3ヶ月ほどが経っただろうか。

漸く仕事も板についた頃、私は社内でオッパを見かけた。

「あ、お、!オッパ!!!」

数年ぶりに呼ぶ『オッパ』にやたら緊張して吃ってしまったら、

小さい頃から変わらない彼独特の笑い方が聞こえた。

オッパと私は3歳差。

小学校は同じでも、中高同じところを通っていても重なることはなく、中高と私も彼も忙しく会うのも少なかったため大学を経て今こうしてあったわけだからだいぶ、いやかなり久しぶりの再会なのだ。


しかも相手は自分がずっと片思いしている人。

これで緊張しないという方が肝がどうかしてると思う。

私がそんな思案を巡らせてるとも知らない彼はまた昔のようにこう話しかける。

「や〜、おばさんから○○がここ入ったって聞いたけれどなかなか会えないな〜って思ってたんだよ。ちょうどその時に、お前があ、お!オッパ!!!っていうから笑い止まらなくて笑」

「やー!酷いんじゃない??久しぶりの再会だよ?もっと感動してくれてもいいんじゃないの!もう!!!」

そう顔を赤くして声を荒げるけれど、

こうして前みたいに揶揄いあえる関係が年を経ても続いてて、

風化してなくて、

心がじんわりあったかくなって" あぁ好きだなぁ "って感じてしまってるのだから、
もうこれは手の施しようがない。

「オッパ〜私ここの入社試験受かったんだよ〜ご飯連れてってよ〜」
私は滅多に欲を張らないが、こればかりは張る。

なにせ今年の倍率は例年の2倍で競争率が元から激しいこの商社がさらにとんでもない倍率になっていた中、
私はオッパに会いたいがために勉強をし面接を受け、こうして今同じ職場で話をしている。

まあ褒美は口実でただ2人で食事がしたかっただけなのだが。

「仕方ないな〜可愛い妹がこの僕でさえ手こずったこの会社に就職したんだからご飯連れて行ってあげようじゃないか!!!や〜僕って優しいなさすが僕だね!」
そう自分自身のことを自らで褒める姿をみて笑ってしまったが、
何年経っても私は彼の中で『妹』という枠にしか収まらないという事実をこう言った形で知るとは思わず、

少し動揺こそはしたが私も一人前の大人で、

「私のオッパなんだからご飯くらいちょろっと何も言わずにおごってよ!!!」

と軽口を叩けるようになった。

「ヒャッヒャッヒャッ」

彼の笑い声につられて笑っておこう

今は笑っておこう。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:はむ。 | 作成日時:2020年4月22日 22時

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