48話 ページ7
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心地よい微睡みの中、私は昔を思い出していた。
私は昔、ごく普通の家族があって貧しかったけど楽しい日々を送っていた。
だけど、ある冬の夜。
お母さんと喧嘩をしてしまったお父さんには夜、冷える中家を飛び出しそのまま帰らぬ人に。
噂じゃ、鬼に食い殺されたとか。
噂だったし、近所の人はまだ幼い私の耳に入らないように、いない所で話してたからよく分からないけど。
「新しくお父さんになる人よ、仲良くね」
『...うん』
私たちの家庭が完全に壊れたのは、多分この辺りから。
家に新しいお父さんが来た頃だったと思う。
普段は垂れ下がっていて人が良さそうに見えるのに、ふとした瞬間見るとキツく光る目に、ニタニタと笑う気持ち悪い口。
その姿は昔近所のおばあさんに話してもらった昔話に出てくる悪人に似ていて。
第一印象がそれじゃ懐くはずもなく、私と義父の関係は良くなかった。
そして次の春。
私の妹の花菜が生まれた。
私を除いた家族は幸せに満ちていて無性に泣きたくなったのを覚えてる。
全部変わった。
家族の形だけじゃなく、お母さんも。
「皆で仲良く楽しく」かモットーのお母さんはいつしか、自己中心的で、なんでも家族を最優先にし、あれだけ悲しんでいた前夫の事を自業自得だ、と笑うようになってしまったのだ。
それから更に家族との溝が深まった2年目。
ある夜、幸せな家庭に私のような、前夫との子供はいらないという内容の話を聞いてしまった。
そこまでなら別に想像してたし、良かったんだけど。
でも、聞いちゃって。
その後の《花菜も要らないよね》っていう言葉を。
自分のことだけならまだ分かるけど、自分たちの子を《要らない》って言える酷い親なんだって、改めて感じちゃった。
私は、私が泣いていたり、負わされた怪我を手当している時、いつも寄り添ってくれて、懐いてくれた幼い妹が命よりも大切だった。
だから、その日から私はいつか花菜と家を出るために、近所のお婆さんを手伝ったりしてお金を集め始めたのだ。
その約半年後の夜、鬼が私の家に来た。
私は厠に行っていて、帰りにチラッと庭を見たら鬼がいたっていう恐怖を全身で感じて、急いで自室に戻った。
正直、転機だと思った。
居間にいる親には伝えず、コツコツ貯めていた、少ないお金と妹の荷物を持って、寝ていた花菜を起こした。
眠気が冷めていない花菜の手を引き、裏口から逃げ出すことに成功。
私は親を見捨てたのだ。
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豆乳鍋(プロフ) - Yukiさん» 無理ない程度に更新…と思っていたら1週間以上経ってました笑 更新頑張りますね！ (2020年7月4日 8時) (
レス) id: 3b56795229 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 面白いです！無理ない程度に更新頑張ってくださいね！ (2020年6月24日 21時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
実柑 hrk(プロフ) - Mikiさん» コメントありがとうございます！スランプにも陥り、更新が止まり気味で遅くなってしまうと思いますが、応援よろしくお願いします！ (2020年3月19日 12時) (レス) id: 3b56795229 (このIDを非表示/違反報告)
Miki - すっごく面白いです!更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2020年3月17日 17時) (レス) id: 38ac23a481 (このIDを非表示/違反報告)
実柑 hrk(プロフ) - 夜桜さん» ええええ、そんなこと言って貰えて本当に嬉しいです……！(泣) 更新頑張ります！！ (2020年3月8日 14時) (レス) id: 3b56795229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：年中毛布掛けて寝る派 | 作成日時：2020年2月22日 16時
