闇の中の白【五条悟】

36.自覚 ページ37

｢ねえ、恵。｣


｢なにAさん｣


｢胸が苦しいのってなんでだと思う？｣



何となく様子を見に来たら
恵のお姉ちゃんはいないらしくて

初めて家にあげてくれた。



｢病気でしょ｣


｢だよねえ｣


｢Aさん病気なの？｣


｢違うけど…なんで胸が苦しくなるんだろう｣


｢小学生に聞くなよ｣


｢だよねえ｣



お土産のお菓子を上げたら
もぐもぐ食べながら

算数の宿題を解き始める恵。


スラスラ解いていくから
多分頭がいいんだろう



｢ねえ、｣


｢ん？｣


｢呪術師の高校、楽しい？｣


｢楽しいよ。友達に恵まれてるから｣


｢なんで呪術師してるの？｣


｢助けてくれた人への、恩返し！

あと、身寄りがないから、私。
こんな見た目だし…他に行くとこないの｣


｢わけアリっていうやつ？｣


｢うん｣


｢大変だったんだね｣



小さな手がぎこちなく私の頭を撫でる


これは、慰めてくれてるのだろうか？

可愛い、ほんと食べちゃいたい。



｢お菓子ありがと。
もうそろそろねーちゃん帰ってくるから帰って｣


｢うん。ありがと恵、また来る｣


｢うん。あ、そうそう……昔さ、あの人が、言ってたんだけど｣



あの人？



｢1番好きな人といると
幸せすぎて苦しくなるんだって｣






.

.

.





恵の家からの帰り道、



｢1番好きな人、かあ…｣



悶々と考えながら歩いていた。




…うーん。

となると私は五条先輩のことが好きなのか？



いや、まさか〜


嫌がらせしかされてないよ？


たまーにちょっとだけ頼りになるし

デレるし優しいけど……



好き？



……好き、



ということはこれはコイワズライ？



……うーん、そうだったら
今までのこと全部理解出来るかもしれない。



｢私、五条先輩のこと、好きなのかぁ｣




言葉にしたらなんか恥ずかしい



え、これ五条先輩言いに来なよとか言ってたけど

答え合わせしに行かないといけないの？




やだな、なんか腹立つ顔しそう。



変な人のこと、好きになっちゃったなぁ

私ほんと見る目ない…



でも、不思議と口からは変な笑い声がでてくる

ふふふふ、笑いが止まらない



あー、早く帰って先輩に会いたいなー

開き直ってしまえばこっちのもんな気がする。




好き、だ。

好きだよ、五条先輩。







.
.
.




ジャリ…




どうやら私は、



浮かれてたらしい





護衛の人が

一人も着いてきていないことにも



不穏な影にも、




全く気づいていなかった。

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