闇の中の白【五条悟】

33.使用人の独り言 ページ34

柏(使用人)side



数ヶ月ぶりに本家に帰ってきた悟様に

色めき経つ分家のお嬢様方や使用人(女)



そろそろ結婚を考えるお年になられた悟様だが

あまりに突然のお帰りに



また何か爆弾を抱えているのではないかと
私は内心ヒヤヒヤしている。



使用人の中でもそれを取り纏める立場のそこそこ位が高い人間である私は、もうこの道40年。



悟様のご機嫌は
立ち姿でわかる程世話し慣れている。




｢よ、柏(かしわ)。話があるんだけど｣



突然現れて肩を組んで
ニヤッと笑う悟様。



あ、これヤバいやつだ。


直感がそう告げていた



.
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｢はい？｣


｢もう1回しか言わないからよーく聞け。

僕、もうお嫁さん決めたから。
上のやつらと縛り交わしてきちゃったし。
多分同意の上。

何時どこで話が漏れるかも分からないから、
その子に護衛をつけて、2-3人信頼できるやつ。

あっ、但しその子とはお喋り厳禁。あとグラサンかけて目も合わせないで？距離とって？わかった？

んで、あと、禪院家に縁のある子供匿うから、
いい感じに誤魔化しといて｣



じゃ。



それだけ言って
消えてしまった悟様に、



頭を抱えてその場にしゃがみこむ
私を含む使用人頭3人



また無理難題を…。



私たちに逆らうという選択肢は端からないため

急いで話し合い指示を飛ばし
命令を伝え、迅速に行動にうつった。


今の三条家は実質悟様の力でふんぞり返っていられるわけであり、悟様の言うことは絶対なのだ。




.

.

.




時はすぎ、



現在、カフェテリアで
パフェを召し上がる御二方の警護中である。



お2人が何を話しているかは見当つかないものの


悟様があんなにお優しい顔をされるのを
私は未だかつて、見たことがなかった。



向かいに座る女性、杏子A様。



彼女が、例の縛りを結んだ方だ。




悟様と同じ、
反転術式を使える才能豊かな御方である。



出自は不明だが、反転術式を扱える鬼才の持ち主ということで、お家の方々は大喜びされていた。



しかし、私が見るに、A様は悟様が勝手に結んだ縛りなど存じ上げないご様子で、



悟様に絡まれて
すごく嫌そうな顔をしている(たまに)



それでもまあ、まだ御二方とも
学生でいる期間はもう1年あるし、


その間にゆっくりと愛を育んでいかれるのだろう



幼い頃からお世話させて頂いていた
悟様のお幸せのために


この柏、
精一杯尽くさせてさせていただく所存です。

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